切実な告白に、呼吸がとまる。
いつも冷静なシリウスには珍しい、むき出しの感情をぶつけるような、切羽詰まった声だった。
覆い被さるように私を抱きしめていた彼が、顔を上げる。こちらを見つめる目には熱がこもっており、見たことないくらい余裕のない表情をしていた。
「俺は君が、どうしようもなく、好きなんだ」
言葉で、仕草で、表情で。ひたむきな愛を注がれる。
心が震えた。こんなに一途に求められて、幸せすぎて涙がとまらない。
(このまま夢が、終わらなきゃいいのに)
そう思いながら、私は彼にほほ笑み返し――。
「私もあなたのことが、好きです」
ずっと伝えられなかった想いを口にした。
シリウスが嬉しそうに笑う。それから私の額にキスをした。
夢なんだから、口にして欲しかったのに。不満げな私の顔で察したのか、彼は低く笑って言った。
「続きは近々、起きているときに。それまで、誰にも許すなよ」
シリウスが意地悪に笑い、親指で私の唇をなぞる。あまりに色っぽい仕草と表情に、私はコクリと頷くのが精一杯だった――。
◇
チュンチュンという鳥のさえずりが聞こえる。
「うーん」と唸って薄めを開けると「朝ですよ。起きて下さい」と声をかけられた。
「もう……少し。あと五分……」
そう言うと、シャッとカーテンが開け放たれ、日差しが顔面に降り注いだ。あまりの眩しさに、毛布をかぶる。
「お嬢様、起きて下さい。今日は孤児院への慰問の日ですよ」
「……今日は、週末でしょ。……だめ。殿下と、鉢合わせちゃう」
「今さら何をおっしゃっているんです。昨夜、仲良くお話していたではありませんか」
「…………ん? 昨夜?」
「ええ。昨夜」
しばし沈黙。動きの悪い寝起きの頭で考える。
私、昨日シリウス殿下の夢を見た。
熱烈に告白されて、私もそれに応じて、両思いになって。
大変、幸せな夢でした。
「…………」
「きちんと眠れたか確認するためお伺したところ、殿下とお嬢様がお話しているのが見えましたので、部屋の前で待機しておりました。シリウス殿下は紳士とはいえ、男性。万が一、ということもありますので」
「…………あれって、夢じゃ、なかったの……?」
私の呟きに、ソニアは平然と「現実です」と言った。
バサッと毛布を跳ね上げ、勢いよく飛び起きる。私のダイナミック起床に、ベッドがトランポリンのようにぐわんと揺れた。
「お嬢様、もっとお淑やかに起きて下さいませ」なんてソニアの小言も耳に入らない。
(どうしよう、どうしよう、どうしよう……!)
昨夜の失態に頭を抱え、恥ずかしさに悶絶する。
「私……なんてことをっ、ど、どどど、どうしたら……」
「どうしたらも何も。会いに行くべきですね」
部屋の中をウロウロする挙動不審な主人を眺めながら、クールな従者はスパッと言い切る。
「それと、殿下からの伝言です」
ソニアの口から語られる『伝言』に、私は固まった。
――『昨日のこと、忘れたとは言わせない。俺から逃げられると思うなよ、アデル』
いつも冷静なシリウスには珍しい、むき出しの感情をぶつけるような、切羽詰まった声だった。
覆い被さるように私を抱きしめていた彼が、顔を上げる。こちらを見つめる目には熱がこもっており、見たことないくらい余裕のない表情をしていた。
「俺は君が、どうしようもなく、好きなんだ」
言葉で、仕草で、表情で。ひたむきな愛を注がれる。
心が震えた。こんなに一途に求められて、幸せすぎて涙がとまらない。
(このまま夢が、終わらなきゃいいのに)
そう思いながら、私は彼にほほ笑み返し――。
「私もあなたのことが、好きです」
ずっと伝えられなかった想いを口にした。
シリウスが嬉しそうに笑う。それから私の額にキスをした。
夢なんだから、口にして欲しかったのに。不満げな私の顔で察したのか、彼は低く笑って言った。
「続きは近々、起きているときに。それまで、誰にも許すなよ」
シリウスが意地悪に笑い、親指で私の唇をなぞる。あまりに色っぽい仕草と表情に、私はコクリと頷くのが精一杯だった――。
◇
チュンチュンという鳥のさえずりが聞こえる。
「うーん」と唸って薄めを開けると「朝ですよ。起きて下さい」と声をかけられた。
「もう……少し。あと五分……」
そう言うと、シャッとカーテンが開け放たれ、日差しが顔面に降り注いだ。あまりの眩しさに、毛布をかぶる。
「お嬢様、起きて下さい。今日は孤児院への慰問の日ですよ」
「……今日は、週末でしょ。……だめ。殿下と、鉢合わせちゃう」
「今さら何をおっしゃっているんです。昨夜、仲良くお話していたではありませんか」
「…………ん? 昨夜?」
「ええ。昨夜」
しばし沈黙。動きの悪い寝起きの頭で考える。
私、昨日シリウス殿下の夢を見た。
熱烈に告白されて、私もそれに応じて、両思いになって。
大変、幸せな夢でした。
「…………」
「きちんと眠れたか確認するためお伺したところ、殿下とお嬢様がお話しているのが見えましたので、部屋の前で待機しておりました。シリウス殿下は紳士とはいえ、男性。万が一、ということもありますので」
「…………あれって、夢じゃ、なかったの……?」
私の呟きに、ソニアは平然と「現実です」と言った。
バサッと毛布を跳ね上げ、勢いよく飛び起きる。私のダイナミック起床に、ベッドがトランポリンのようにぐわんと揺れた。
「お嬢様、もっとお淑やかに起きて下さいませ」なんてソニアの小言も耳に入らない。
(どうしよう、どうしよう、どうしよう……!)
昨夜の失態に頭を抱え、恥ずかしさに悶絶する。
「私……なんてことをっ、ど、どどど、どうしたら……」
「どうしたらも何も。会いに行くべきですね」
部屋の中をウロウロする挙動不審な主人を眺めながら、クールな従者はスパッと言い切る。
「それと、殿下からの伝言です」
ソニアの口から語られる『伝言』に、私は固まった。
――『昨日のこと、忘れたとは言わせない。俺から逃げられると思うなよ、アデル』


