「どうして、こんな時にカイさんはふざけてるんですか?」
「ふざけてないって」
「充分ふざけてます」
「何を好き好んで俺がオッサンと一緒に調査しないといけないの。絶対に嫌だ」
「――そういうことにしておこうか」
カイとミュヨンのやり取りを黙って見つめていた団長がその場を制す。
ミュヨンはカイの飄々とした振る舞いに引きずり込まれているのを自覚して、気恥ずかしくも襟を正した。
「次は魔術師団からの協力要請にも素直に応えてほしいものだ」
「面倒だから無理。俺の気が向いた時はね」
「カイの気が向くことなどないだろう」
「今回、事故の初動、駆けつけてあげたんだけど」
「――団長。そろそろお時間が」
「ああ。わかってる」
団長は後方に控えていた魔術師団員に声をかけられた。
「中、入んの?」
カイが親指で結界実験室を指して問う。
「ああ。亡くなった研究員の研究室は裏で危険な研究を進めていた情報も入っている。部下の不始末を処理しなくてはならない」
ミュヨンは口調だけは柔らかな団長の低い声色に背筋が凍る思いがした。
(部下の不始末……)
事故に見せかけて殺害した加害者と被害者が同じ研究室の研究員同士。
禁術が使われた殺人事件が同じ研究室内で起こり、その研究室が進めていた研究”魔力増幅理論”を今後どう扱うか。
研究室に残されたボルトラ、レミリア、ルーレンも今まで通りにとはいかないだろう。
王立魔術師団のトップに立つ者として、判断をくだし処理をする。
――というのが建前だろう。
(自分はあくまで無関係だと……)
カイも団長の関与に気がついているはずだったが、何も言わなかった。
決定的な証拠が何一つない今の状態では、何をどこまでミュヨンたちが掴んでいるか知られないことが賢明で唯一の判断だった。
「ミュヨン監査官。引き続きよろしくお願いします」
「はい」
団長は丁寧にミュヨンへ一礼すると、後方に引き連れていた魔術師たちと結界実験室へ入っていく。
ミュヨンは団長を引き留める術を持たないもどかしさに拳を握り締めて、一団を視線で見送った。
「ふざけてないって」
「充分ふざけてます」
「何を好き好んで俺がオッサンと一緒に調査しないといけないの。絶対に嫌だ」
「――そういうことにしておこうか」
カイとミュヨンのやり取りを黙って見つめていた団長がその場を制す。
ミュヨンはカイの飄々とした振る舞いに引きずり込まれているのを自覚して、気恥ずかしくも襟を正した。
「次は魔術師団からの協力要請にも素直に応えてほしいものだ」
「面倒だから無理。俺の気が向いた時はね」
「カイの気が向くことなどないだろう」
「今回、事故の初動、駆けつけてあげたんだけど」
「――団長。そろそろお時間が」
「ああ。わかってる」
団長は後方に控えていた魔術師団員に声をかけられた。
「中、入んの?」
カイが親指で結界実験室を指して問う。
「ああ。亡くなった研究員の研究室は裏で危険な研究を進めていた情報も入っている。部下の不始末を処理しなくてはならない」
ミュヨンは口調だけは柔らかな団長の低い声色に背筋が凍る思いがした。
(部下の不始末……)
事故に見せかけて殺害した加害者と被害者が同じ研究室の研究員同士。
禁術が使われた殺人事件が同じ研究室内で起こり、その研究室が進めていた研究”魔力増幅理論”を今後どう扱うか。
研究室に残されたボルトラ、レミリア、ルーレンも今まで通りにとはいかないだろう。
王立魔術師団のトップに立つ者として、判断をくだし処理をする。
――というのが建前だろう。
(自分はあくまで無関係だと……)
カイも団長の関与に気がついているはずだったが、何も言わなかった。
決定的な証拠が何一つない今の状態では、何をどこまでミュヨンたちが掴んでいるか知られないことが賢明で唯一の判断だった。
「ミュヨン監査官。引き続きよろしくお願いします」
「はい」
団長は丁寧にミュヨンへ一礼すると、後方に引き連れていた魔術師たちと結界実験室へ入っていく。
ミュヨンは団長を引き留める術を持たないもどかしさに拳を握り締めて、一団を視線で見送った。



