画面を見つめたまま、時間だけが流れていく。
<<久しぶり、元気かな?>>
たったそれだけの短いメッセージ。けれどその一文で、八年間ではじめて、奏の心の奥にまっすぐ触れてきた。
手が震えていた。
うれしいのか、怖いのか、それともその両方か、自分でも分からなかった。返信は出来なかった。でも削除もしなかった。通知を消すことも、トークを開いたままにしておくことも。
すべてが「選ばれた行動」に思えてくる。
翌日、ふと高校の卒業アルバムを開いてみた。
ページの隅に、小さく映る慶の顔。輪郭は少しぼやけていたけれど、そこにいることだけは確かだった。
「・・返事、してくれなくて当然だったよね」
8年前、あの春。
卒業式の翌日、勇気を出して書いた手紙。けれどそのまま学校は閉鎖され、会えないままの時間だけが流れた。
コロナで会えなかった、という事実があったとしても。返事がなかったことを自分の価値と重ねてしまった。
それ以来、誰に思いを向けることも。思いを受け取ることも、怖くなった。
心の奥にずっと残っていたのは、
「私は誰にも、ちゃんと届かないんだ」という小さな確信。
窓の外で風がなった。カーテンの隙間から、陽が差してくる。
スマホを手に取り、再びメッセージを開いた。
元気じゃないよ と返せたら、どんなに楽だろう。
でも、それはきっと、本当の意味で幸せになれたときじゃないと言えない気がした。
「・・ ありがとう くらいなら、いってもいいかな」
そうつぶやいて、ゆっくり文字を打ち始める。
返信:「メッセージ、ありがとう。驚いたけど、少しうれしかったです。」
打ち終えた後、しばらく返信ボタンを見つめる。何分経ったかわかんない。でも、気づいたら、画面の右下に「既読」のマークがついた。
送っていた。
胸の奥が、じんわり熱くなった。これが、前に進むって事なのかもしれない。
ほんの一歩だけれど。
<<久しぶり、元気かな?>>
たったそれだけの短いメッセージ。けれどその一文で、八年間ではじめて、奏の心の奥にまっすぐ触れてきた。
手が震えていた。
うれしいのか、怖いのか、それともその両方か、自分でも分からなかった。返信は出来なかった。でも削除もしなかった。通知を消すことも、トークを開いたままにしておくことも。
すべてが「選ばれた行動」に思えてくる。
翌日、ふと高校の卒業アルバムを開いてみた。
ページの隅に、小さく映る慶の顔。輪郭は少しぼやけていたけれど、そこにいることだけは確かだった。
「・・返事、してくれなくて当然だったよね」
8年前、あの春。
卒業式の翌日、勇気を出して書いた手紙。けれどそのまま学校は閉鎖され、会えないままの時間だけが流れた。
コロナで会えなかった、という事実があったとしても。返事がなかったことを自分の価値と重ねてしまった。
それ以来、誰に思いを向けることも。思いを受け取ることも、怖くなった。
心の奥にずっと残っていたのは、
「私は誰にも、ちゃんと届かないんだ」という小さな確信。
窓の外で風がなった。カーテンの隙間から、陽が差してくる。
スマホを手に取り、再びメッセージを開いた。
元気じゃないよ と返せたら、どんなに楽だろう。
でも、それはきっと、本当の意味で幸せになれたときじゃないと言えない気がした。
「・・ ありがとう くらいなら、いってもいいかな」
そうつぶやいて、ゆっくり文字を打ち始める。
返信:「メッセージ、ありがとう。驚いたけど、少しうれしかったです。」
打ち終えた後、しばらく返信ボタンを見つめる。何分経ったかわかんない。でも、気づいたら、画面の右下に「既読」のマークがついた。
送っていた。
胸の奥が、じんわり熱くなった。これが、前に進むって事なのかもしれない。
ほんの一歩だけれど。
