スマホの画面に、桜井 奏 のホーム画面が反射する。
昼下がりの部屋に、窓からやわらかな光が差し込んでいた。春の陽射しは、こんなにもあたたかいのに。指先はずっと、冷たいままだった。
連絡簿の中に慶の名前は残っている。高校を卒業する前に交換したまま、一度も使われなかった履歴。
開くだけなら、怖くない。でも、その先の「一言」が、どうしても打てなかった。
「元気?」「久しぶり」「この間、偶然あったね」
ーー何を言えばいい?
何を求めている?スマホを持ったまま、奏は深く息を吐いた。
カウンセラーにはこう言われた。
「また話してみたい」って気持ちは、否定しなくていいと思いますよ
会いたい とあってもいいと思われるが も、違う
自分の心の奥にある小さな期待がそれを見つめる冷たい目の両方が、胸の奥でせめぎあう。
「・・・やっぱり、今は無理」
そうつぶやいて、スマホを伏せた。
連絡しようとして、出来なかったことすら、自分の中では前に進めた気がしたのに、
その夜。静かな部屋に、通知音が響いた。
ーピコン
スマホの画面には、「藤原慶」の名前があった。
目を疑った。
何度も瞬きをして、手が震えた。
<<久しぶり、元気かな?>>
たったそれだけの短いメッセージ。けれど、画面の光が胸の奥を強く照らした。
まるで、さっきまで自分が言おうとしていた言葉を。
彼が代わりに口にしたかのようだった。
震える指で画面を閉じた。
返信は出来なかった。でも今度は、もう少しだけ、自分を責められずにいられる気がした。
昼下がりの部屋に、窓からやわらかな光が差し込んでいた。春の陽射しは、こんなにもあたたかいのに。指先はずっと、冷たいままだった。
連絡簿の中に慶の名前は残っている。高校を卒業する前に交換したまま、一度も使われなかった履歴。
開くだけなら、怖くない。でも、その先の「一言」が、どうしても打てなかった。
「元気?」「久しぶり」「この間、偶然あったね」
ーー何を言えばいい?
何を求めている?スマホを持ったまま、奏は深く息を吐いた。
カウンセラーにはこう言われた。
「また話してみたい」って気持ちは、否定しなくていいと思いますよ
会いたい とあってもいいと思われるが も、違う
自分の心の奥にある小さな期待がそれを見つめる冷たい目の両方が、胸の奥でせめぎあう。
「・・・やっぱり、今は無理」
そうつぶやいて、スマホを伏せた。
連絡しようとして、出来なかったことすら、自分の中では前に進めた気がしたのに、
その夜。静かな部屋に、通知音が響いた。
ーピコン
スマホの画面には、「藤原慶」の名前があった。
目を疑った。
何度も瞬きをして、手が震えた。
<<久しぶり、元気かな?>>
たったそれだけの短いメッセージ。けれど、画面の光が胸の奥を強く照らした。
まるで、さっきまで自分が言おうとしていた言葉を。
彼が代わりに口にしたかのようだった。
震える指で画面を閉じた。
返信は出来なかった。でも今度は、もう少しだけ、自分を責められずにいられる気がした。
