氷の姫騎士様はメンタル以外最強です!

 冒険者ギルドに着くと、シュンは早速クエストを物色し始める。

「ユキミさん。何か受けたいクエストはありますかい? それと逆にこれは嫌だみたいなのは?」

「あ、あの、人と話すのが多いのはちょっと……」

 ユキミが俯きながら言うので、シュンはちょっとだけ笑ってしまった。

「はいはい、じゃあ護衛みたいなのはナシっと」

 そこで目を付けたのは、薬草集めのクエストだ。

 本来ならEランクのクエストだが、最近は魔物が活性化しており物騒なので、Dランク向けになっている。

「それじゃ楽しい楽しい草むしりでもしますかい?」

 クエストの内容を見せると、ユキミはこくこくと頷いた。

「よしっ、受注してきますんで!」

 シュンはクエスト依頼の紙を手に取り、受付へ向かう。



 
 シュンとユキミの二人は、街はずれの山を目指して歩く。

 そこで薬草を集める為だ。

 道中では魔物も出ず、会話も出ず、なんとも静かだった。

「この辺で良いかっと、それじゃやっていきましょうかね」

 そう言ってシュンは摘み取った薬草をユキミに渡す。

「これと同じものを集めて下さいや」

 透き通る白い手で薬草を受け取り、ユキミは頷く。

「わかった……」

 二人はそこら中をかき分けて薬草を集めた。

 カゴ半分ほどになり、一息つこうかと思った時、事件は起こる。

「なんだか風が騒がしいな」

 今日は風が強い。早めに切り上げたいなとシュンは考えていた。

 その時だった、遠くからこちらへ飛んでくる影を見て、血の気が引く。

「翼竜っ!?」

 身を伏せてシュンは言う。最近目撃が増えていたらしいが、よりにもよってと。

 早くユキミに知らせねばと身を屈めながら彼女を探す。

 やっと見つけた彼女も上空を見上げている。

「ユキミさん、まずい。クエストは中止だ。翼竜が出ちまった!」

「わ、わかった」

 ユキミも怯えているのだろうかとシュンは思った。あんなモノが降りて来たらひとたまりもない。

「翼竜が飛び去るまで、草むらで伏せて……」

 そこまで言いかけて絶望が迫る。なんと翼竜はこちらに向かって真っすぐ降りてきたのだ。

「くそっ! 逃げるぞユキミさん!」

「う、うん」

 翼を広げると、ゆうに10メートルは超える巨体だ。

 翼竜はこちらを狙い、滑空している。

「ユキミさん。俺が時間を稼ぐから、逃げてギルドに報告を!」

「だ、ダメ。危ないから!」

「このままじゃ二人とも死ぬ!」

 シュンが覚悟を決めて、気休めの剣を抜く。

 次の瞬間、シュンはまた驚く事になる。ユキミが前に躍り出て、水色のオーラを身に纏い始めたのだ。

「ユキミさん! 逃げろ!!!」

 ユキミはその言葉にも反応せず、剣を構えていた。

 翼竜が爪を出し、こちらに攻撃を加えようとしている。

 やられる。そう思った時だ。

「ブライニクルスラッシュ!!!」


(イラスト:遠州しょんないウォーカー先生)