氷の姫騎士様はメンタル以外最強です!

 シュンは「はいはい」と言って「何かあるかい?」と看板娘に尋ねる。

「それでしたらー。おすすめのウィスキーがありますよー」

 看板娘の言葉に、サキタマはポケーっとした顔で返す。

「よく分からんが、それでいいぞ!」

「かしこまりにゃー」

 そこにシュンが付け加えて言う。

「料理は適当に持ってきちゃって。あ、でも最初にポテトと唐揚げは忘れずに」

「わかってるにゃー」

 看板娘はウィンクをしながら去っていった。

 しばらく待っていると、酒が届きシュンはジョッキを高く上げる。

「それじゃ、かんぱーい!」

 皆でジョッキやグラスをかちりとぶつけてから酒を味わう。

 そんな中、サキタマは酒を口にせず。匂いを嗅いでいた。

 シュンはやっぱ飲めなかったかと声を掛ける。

「どした? やっぱ無理か? 今からでもジュースにすっか?」

「馬鹿を言うな! ワシは香りを楽しんでおるのじゃ!」

「香りを……、ねぇ……」

 遠い目をしているシュンにサキタマは怒る。

「お主!! 信じとらんな!?」

「あーはいはい」

 サキタマはふんすとウィスキーを一口飲む。

「お、美味い酒じゃの!」

 強がっている風でもないサキタマを見てシュンはびっくりする。

「お前、マジか……」

 その騒がしいサキタマとは対照的にテーブルの向かいは静かすぎた。

「ユキミさんもチフリさんも、酒の席だよ? さぁ、盛り上がって盛り上がって!」

 シュンが言うも、ユキミは慣れない場所でガチガチに緊張し、チフリは何を思っているかも分からない。

 そんな状況へ救いの手かの様におつまみが運ばれてきた。

「にゃにゃーん! ナッツとチーズですにゃー!」

 シュンはニコニコ笑顔を作りながらユキミとチフリに手で促す。

「ほら、美味しいから食べてみてくださいや」

 ユキミはナッツに手を伸ばして一口食べる。

「美味しい……」

 チフリも同じようにナッツを食べた。

「美味しいです」

 シュンは思わずツッコんだ。

「いや、リアクション薄っ!! うっすいわー!!!」

 サキタマも手を伸ばしてナッツを掴もうとしていた。

「ワシも、ワシも豆を食べるのじゃー!!」

 次は唐揚げとフライドポテトが運ばれてくる。

 シュンは無理やりテンションを上げて話す。

「ほら、お芋さんだよお芋さん!」

 ユキミは赤面しながらポテトに手を伸ばして食べた。

「あっ、あつっ……。で、でも、美味しい……」

 そして酒を一口飲む。

「ほら、唐揚げ食べなよチフリさん!」

「いただきます」

 もしゃもしゃとチフリは唐揚げを食べ始めた。

 重苦しい空気を感じ取ったサキタマが言う。

「なんか、誰かが死んだみたいじゃのう……」

 そんな時、シュンは背後から声を掛けられる。

「あれ? シュンか? シュンじゃないか!?」

 振り返ると、長い黒髪を後ろで束ねた女剣士が立っていた。

 シュンはその懐かしい顔に大きな声を上げる。

「え、あぁ!! スミレじゃねぇか!!」

 スミレと呼ばれた女剣士は、にししと笑いテーブルに目を向けた。

「ひっさしぶりだなー! って、お前、なんだこの可愛い子ちゃんたちは!?」

 シュンは笑顔で返す。

「あぁ、今パーティを組んでもらっているんだ」

「へぇー。私はスミレ! よろしくお嬢ちゃん達!」

 スミレの言葉に、ユキミはあたふたとした後、立ち上がって深々と頭を下げた。

「ゆ、ユキミ・サヴィと申します!! よろしくお願いします!!」

 それを見て、スミレはアハハと笑う。

「面白いお嬢ちゃんだね!! ってか、サヴィってどこかで聞いた覚えが……」

 うーんとスミレは考えるが、答えよりも先に「そうだ」と言う。

「私も一緒に飲んでも良いか?」

 シュンは頷いた。

「あぁ、久しぶりだしな! 色々話そうぜ!」

 暗い酒の席に助け船が来て、明るくなりそうだなと、シュンは少しホッとした。