氷の姫騎士様はメンタル以外最強です!

「ほ、本当か!?」

 ユキミはパァーっと明るい顔になる。

 なんだかんだ、ユキミと飲みに行く流れになってしまったシュン。

 だが、まずい。

 これは非常にまずい、今のシュンは男としての本能が抑えられる気がしない。

 昼間の変な毒のせいでおかしな気分になっているというのに、更に目の前には美人の女の子。

 これで耐えろという方が無理だ。

「そ、それじゃ行きまっしょい!」

 なるべくユキミを見ない様にしつつ、玄関のドアを開ける。

 そこには、腕を組んだチフリが居た。

「随分と楽しそうではないですか。私も混ぜてくださいよ」

「げっ!?」

「げっ、とは失礼ですね」

 チフリはシュンの前に立ちはだかる。

 それを見てユキミが言う。

「チフリも一緒にどうだ?」

「えぇ、同行させて頂きます」

「あー!! お主ら!! ワシに隠れてどこへ行くのじゃ!!」

 何かを嗅ぎつけたのかサキタマもやって来た。

「うわっ、邪魔者が増えた!!」

 シュンはうっかり口を滑らせる。

 チフリはムッとした顔をして言った。

「ほう、増えたという事は、私は邪魔者として数えられていた、と?」

 慌ててシュンは取り繕って話し始める。

「ち、違いますよ!? そんな訳ないですよねぇ!? チフリさんみたいな可愛い人と飲めるなんて俺は幸せ者だなー!?」

 納得しないままチフリは言う。

「まぁいいです。行くならさっさと行きますよ」

「あぁ、はい。そっすね……」

 歓楽街で酒を飲み、女の子と楽園を目指すシュンの計画は終わった。

 そして、シュン達はサキタマを家の内側に置いたまま、そっとドアを閉めようとする。

「ちょっ、ちょいちょーい!! 待て待て!! ワシを置いていくな!!」



 サキタマが泣き喚いたので仕方なく飲み屋街まで連れていくシュン。

「俺のよく行く飲み屋で良いですかい?」

「あぁ、良いぞ!」

 ユキミは何となくテンションが高い。

 彼女は水色のワンピースに、すっかり見慣れた水色のアイラインとそれと同じ色の口紅で戦化粧。

 チフリは、緑のジャケットに、茶色のキュロットスカート。

 サキタマはいつもの赤いキモノ。

 外見は良い女性たちを連れて歩くが、シュンの気は重い。

「ここだ!」

 こじんまりとした飲み屋を見てユキミが言う。

「この前に行った所とは違うのか?」

「この店、前ユキミさんと飲みに行った時は休みだったからなぁ」

 店のドアを開けると、店主のオヤジが笑顔で迎える。

「おう、シュンさんかい!! いらっしゃい! 久しぶりだな!!」

「おう、オヤジさん!! 今日は4人ね!!」

「わかった……。って」

 シュンの後に続いてぞろぞろと入って来る美女たちとちんちくりん一人にオヤジは驚く。

「え、シュンさんの連れかい!?」

「そうだともそうだとも、美人だろ?」

 ユキミは赤面し、チフリは嫌そうな顔をしていた。

 少し気まずい空気を察し、シュンは頭を掻きながら店主に言う。

「まぁ、冒険者パーティを組んだんだ」

 すると、店主は苦笑いしたまま返す。

「あ、あぁ、なるほど。そういう事かい!! よろしく!! お嬢さんたち!!」

 ユキミとチフリは軽く頭を下げた。

 接客を終えた獣人の看板娘が席の案内にこちらへやって来た。

「にゃにゃーん! おや、シュンの旦那! かわいこちゃん連れてどうしたの?」

「冒険者仲間だよーん」

 シュンがそう返すと、看板娘は笑い、席に案内される。

「それじゃ、何を飲みますかい? 俺はビールで!」

 シュンの言葉に、慣れない場所で緊張しているユキミは小さく返す。

「わ、私は……。前にシュンと一緒に飲んだお酒が良い……」

 そう言われ、なんだかシュンは少し嬉しくなる。

「おっけおっけ、オンセブルーね! で、チフリさんは?」

「私は適当な赤ワインで」

 シュンは皆に聞いたので看板娘を呼ぼうとする。

「それじゃ注文を……」

「ちょいちょーい!! ワシの注文を聞かんとはどういう事じゃ!?」

 サキタマがプンスカ怒り出した。

「いや、お前はジュースとかで良いだろ」

 シュンが優しいまなざしで言うが、それは更に怒りを高めた。

「良いわけがなかろう!! ワシには強い酒じゃ!!」

「子供にゃ酒は早いぜ?」

「お主らより年上じゃ!!」