氷の姫騎士様はメンタル以外最強です!

 しばらくたき火で暖を取っていると、街に戻っていたシュンが到着した。

「おーい、戻りましたよー。大丈夫ですかー?」

 荷物袋にはユキミの服と、シュンの服が入っていた。

「ユキミさん、これ。そしてお前は着替えないから俺の服着てろ」

「嫌なのじゃー!!!」

 ムッとしたシュンはサキタマに言う。

「それじゃ濡れたまま帰れ」

「嫌なのじゃー!!!」

 ユキミはうるうるした瞳でシュンを見つめた。

「あ、ありがとう……」

「どういたしまして。それじゃどこか茂みで着替えてきて下さいや」

 シュンは反対方向を見て、ユキミとサキタマは着替える。

 着替えが終わると、皆で冒険者ギルドに戻り、報告を済ませた。


 家に戻り、夕食の用意をしようとするユキミだったが、何だか体がおかしい。

 一番に気付いたのはシュンだった。

「ユキミさん、何か体調悪そうだな?」

「いや、そんなことは……」

 そういうユキミだったが、シュンは手を握る。

「体温が高い気がするな。熱でもあるんじゃないのか!?」

「そ、そうか……な?」

 シュンは心配そうな顔をしてユキミに言う。

「スライムにやられたせいかもしれない。もしくは濡れて風邪でも引いたか……」

 ユキミは大丈夫だと笑顔を作った。

「わ、私は大丈夫だ!」

 それに対し、シュンは真面目な顔をして言う。

「ユキミさん。冒険者は無理をすると命を落とす。例えユキミさんがメチャクチャ強くてもだ」

 そんなやり取りをしていると、チフリもやって来た。

「ユキミ先輩、体調が優れないのですか!?」

 いつもの無表情でなく、少し焦りが顔に滲んでいた。

「う、うむ……」

 シュンはユキミに告げる。

「ユキミさん。今日は寝てな。あとは俺がやるからさ」

「……すまない」



 シュンも料理が出来ないわけではない。麦のお粥と野菜のスープ。チーズを用意した。

「チフリさん。ユキミさんを呼んできてくれ」

「分かりました」

 チフリはユキミの元へ向かう。そこでは布団に包まって震えているユキミがいた。

「ユキミ先輩、本当に大丈夫ですか? 医者に診てもらった方が……」

「大丈夫だ。ただの風邪だと思う」

 起きるのも辛そうなユキミだったが、何とか居間まで歩き、椅子に座る。

 シュンはその辛そうな動きを見て更に心配が募る。

「ユキミさん、無理しないで部屋で食べても良いんだぜ?」

「いや、いいんだ。皆と食べたいんだ」

 サキタマも流石に罪悪感を感じているのか、ユキミを心配した。

「大丈夫かの、ユキミ……」

 シュンはそんなサキタマに言う。

「お前は馬鹿だから風邪引かないけど、ユキミさんは繊細なんだ」

「失礼な奴なのじゃ!!」

 ユキミは力なく笑い、食事を少しだけ摂った。

「残してしまってすまない。シュン……」

「良いんだ、ユキミさん。少しでも食べられたなら」

 チフリに付き添われながら、また部屋に戻る。

「俺は薬を買ってくる。ユキミさんは頼んだぞ」

「分かりました。シュン先輩」

 ユキミはベッドに戻ると、苦しそうだったが、寝てしまった。



「ユキミさん入るぞー」

 ドアをノックしてシュンが言う。

 返事は無かったが大丈夫だろうと、ドアを開けた。

 はぁはぁと苦しそうなユキミに心が痛む。

「ユキミさん、薬を買ってきた。飲んでくれ」

 軽く揺さぶってユキミを起こす。

「シュン、すまない……」

「気にするな! ユキミさん。それじゃ薬を飲んでくれ」

 栄養剤の赤いポーションをユキミに飲ませる。

「案外甘くて美味しいな……」

 次に、丸薬の熱さましをユキミに飲ませた。

「ふぅ……」

 熱っぽくて顔が赤いユキミはシュンを見つめている。

「わ、私は……。私は死ぬのだろうか?」

 真剣な眼差しで言うので、シュンは大笑いした。

「これぐらいで死ぬわけないでしょう。ユキミさん、弱気になりすぎですわ」

「そうか……」