氷の姫騎士様はメンタル以外最強です!

 ユキミはねちょねちょのまま立ち上がる。

「う、うえええ……」

 サキタマは寝ころんだまま駄々をこねた。

「いやじゃあああねちょねちょじゃあああ!!!」

 シュンとチフリは二人の元へ駆け寄った。

 そして、シュンが慌てて言う。

「ユキミさん、大丈夫か!?」

「シュン。私はもうダメだ。ねちょねちょになってしまった……」

 ユキミは涙目になりながら言ってきた。

 苦笑いしながらシュンは話す。

「ま、まぁ、命に別状がなきゃいいや。スライムの粘液には微量の毒があるから、近くの川で洗い流しましょうや」

 ユキミは泣くのを堪えながら言う。

「うん、洗うぅ……」

 サキタマはそんな会話を見てまた喚きだす。

「ワシの心配もするのじゃああ!!!」

 近くの川まで、シュンはねちょねちょのユキミとサキタマを連れて歩いて行った。

 ユキミは未だに泣きそうな顔をしている。

「こ、こんなにねちょねちょにされたら、うぅ……。もう結婚できない……」

 シュンはそんなユキミを励ます。

「だ、大丈夫だ! ユキミさんは美人だし! 料理も上手い! いくらでも相手はいる!!」

 ユキミはシュンを見上げて顔を赤らめた。

「そ、そうか?」

「あ、あぁそうだ! 多少ねちょねちょになったぐらいじゃ平気だ!」

 近くの川へ辿り着くと、チフリがシュンを手で追い払う。

「それじゃ、ユキミ先輩は体を洗うので、あっち行っててください。っていうか、街に戻って着替えを持ってきてください」

「わーってるよ。それじゃ行ってくる」

 ユキミは鎧を脱いで、服を着たまま川で体を洗う。

 チフリはユキミの鎧を洗ってくれていた。

「すまないなチフリ」

「えぇ、大丈夫ですユキミ先輩」

「ワシは服脱ぎたいのじゃ……」

 そういうサキタマをユキミは止めた。

「人に見られるかもしれないから、それに服も洗うんだし我慢して」

「のじゃぁぁぁ……」

 そんなサキタマにチフリは言い放つ。

「元はと言えば、スライムに閉じ込められたあなたが悪いんですよ」

 チフリに言われて、元気がさらにしおしおになっていくサキタマ。

 そんなチフリをユキミはなだめる。

「まぁ、そう言うな。命があっただけよかったじゃないか」

 はぁっとため息をついてチフリは言う。

「サキタマ、ユキミ先輩に助けてもらったお礼は?」

「ふん、ワシ一人でも抜け出せ……」

 言いかけて殺意を感じ、サキタマは慌てる。

「た、助かったのじゃユキミ。マジ感謝なのじゃ!!!」



 季節は春。少し暖かくなったとはいえ、少しだけ寒い。

 サキタマは温まる為に炎を出した。

「鬼火!!」

 チフリが集めていた木の枝に着火し、三人は暖を取る。

 サキタマはユキミに尋ねた。

「のう、ユキミ。お主は氷使いなのに寒いのか?」

「氷使いだけど、寒い時は普通に寒い」

「そういうもんなのかの……」