
(イラスト:うに先生)
ユキミが真っすぐな目で見つめて言うもので。思わず赤面しながら顔を逸らすシュン。
「い、いや、嫌ってわけじゃないんだけどもねー」
その後ろではチフリが隠しナイフに手を掛けようとしている。
慌ててシュンは言う。
「いやいや、ユキミさんはもっと上を目指すべきだ! 頑張れユキミさん! 世界に羽ばたけ!」
「私は、こんな生活がずっと続けばいいと思っているのだがな……」
ユキミに言われ、シュンは思わず黙ってしまう。
「まぁ、ユキミさん程の実力者なら、ギルドが放っておかないって!」
ユキミはムスッとしてしまった。
「私はもう寝る!」
そう言って部屋に消えてしまうユキミ。
シュンはチフリに脅されていたとはいえ、これで良かったんだと思っていた。
サキタマは飯を食い終わり、シュンへ言う。
「なんじゃ、痴話喧嘩か?」
痴話喧嘩と言われ、思わずシュンは否定した。
「違うから!」
シュン達も寝ようかと思っていたが、チフリがふと言う。
「私は銭湯に行ってから眠りたいです」
「おぉ! ワシも風呂に入りたいのじゃ!」
女子二人はそんな事を言い出したが、シュンも良い案だなと思った。
「そっか、俺も行こうかな。ユキミさんも誘ってみるか」
チフリはシュンを見つめる。
「あなたが責任を持ってユキミ先輩を起こしてきてください」
「えぇ!? 俺が?」
気まずさを感じたが、ユキミだけ仲間外れにするわけにはいかない。
ユキミの部屋まで行き、ノックする。
「ユキミさーん? 銭湯行くんですけど、一緒にどうですか?」
返事は無かったが、何かもぞもぞ物音は聞こえ始めた。
部屋のドアがガチャリと開いてユキミが出てくる。
「行く……」
銭湯まで会話は、ほとんどなく、気まずい空気の中で歩き続けた。
「お、着いたな」
そこそこ大きめの銭湯までやって来た一行。
「それじゃ、ここで」
男女別に風呂へと向かい。シュンは体を洗ってから風呂へ入った。
まだ残っている傷口に湯が染みる。
「くぅー……」
一方で女湯はというと、ユキミ達も風呂に入っていた。
サキタマはふわーっと言いながら目を細める。
「やっぱり湯はええのう……」
チフリはそんな様子を見て言う。
「年寄りくさ……。いや、年寄りでしたね」
それに対し、サキタマは怒り出す。
「ちがうのじゃ!! 年寄りじゃないのじゃあああ!!!」
「はいはい」
ユキミはと言うと浮かない顔をして湯に入っていた。
「なぁ、チフリ。さっきの言い方。シュンは怒っただろうか?」
うーんと考え、チフリは言う。
「怒っているようには見えませんでしたよ。シュン先輩」
「そ、そうか!?」
ユキミはいっきに明るい顔になる。本当にこの方は分かりやすいなとチフリは思う。
だからこそ、その純粋さに付け込む不届き者から守らねばいけないとも。



