氷の姫騎士様はメンタル以外最強です!

「人の身にしては面白い術を使うのう」

 雪を業火で溶かし、無傷の妖狐が現れた。

 シュンは気休めに上空へ緊急事態を知らせる赤色の信号弾を打つ。

 チフリも辺りが明るくなる信号弾を打った。

「ライトハウス」

 そう唱えると、一気に辺りが昼の様に明るくなる。

 妖狐の姿がはっきりと見えた。

 サキタマと同じような赤い着物に、長い尻尾がいくつも生えている。

 長いきつね色の髪を揺らし、こちらへ一歩一歩近付いてきた。

 ユキミは青色のオーラを身に纏い。妖狐に向かい駆ける。

「ブライニクルスラッシュ!!」

 氷で串刺しにしようとするが、相手はひらりと避ける。

 妖狐もユキミに技を使った。

「お返しじゃ、オニビ」

 火の玉がユキミを囲い、四方八方からユキミ目掛けて発射された。

 シュンは思わず叫ぶ。

「ユキミさん!!」

 次々に襲い掛かる火の玉を浴びて、本来ならば骨すら残らない程だったが。

 全身に氷の鎧を纏わせ、ユキミは立っていた。

「ほう、これを食らって死ななかったのは勇者以来じゃ」

 氷像の様になっているユキミにヒビが入り、中から彼女が弾け飛ぶ。

 飛び上がって上空で剣に氷を纏わせる。

 剣は数十倍の大きさになり、それを振り下ろした。

 妖狐は炎を纏わせた魔法の防御壁でそれを防ぐ。

 衝撃が辺りへ響き渡った。

「たのしいのう!」

 妖狐は瞳孔を開いて炎の渦を自身の周りに起こす。

 次にユキミは剣を地面に突き刺した。

「スピアフロストピラー!」

 地面から数十本、氷の槍が天に向かって伸びる。 

 妖狐は空高く飛び上がり、挑発するかのように氷の槍に着地し、足場として利用していた。

 しかし、そこでユキミがニヤリと笑う。

 氷の槍から手が生え、妖狐の両足を掴んだ。

「なっ!!」

 焦る妖狐だったが、次の瞬間には横から伸びた氷の槍が腕を掠めた。

 服は破れ、血を流し、妖狐は目を閉じる。

「ククク……」

 少し笑いだしてから、高笑いを始めた。

「はーっはははー!! わらわに傷を付けるとはやるのう!!」

 足元に業火を出し、全てを溶かし尽くす妖狐。

「わらわもまだ本調子ではない。勝負はお預けじゃ」

「逃がさない」

 ユキミは氷柱を何十本も打ち出すが、巨大な炎の壁を張られ溶かされる。

 その壁が無くなった後、妖狐の姿はどこにもなかった。

 シュンは武器を構えたまま言う。

「た、助かったのか!?」

「はい、あの狐の気配は消えました」

 シュンは、はぁーっと息を吐いた。

「命拾いしたぜ……」