氷の姫騎士様はメンタル以外最強です!

 間違えて封印されていたと聞いて、流石に不憫に思うシュン。

 ユキミは剣を収め、身を屈ませて、狐神の頭を優しく撫でてやった。

 だが、狐神は泣き止まない。

「うわああああ!!!」

 そんな様子に、チフリは短剣を構える。

「うるさいですし、やはり、黙らせましょうか?」

 ユキミは慌ててチフリを制止した。

「チフリ、ダメだ。この子、泣いている……から」

 せっかく守ってやったのに、狐神はわめき始めた。

「ワシを子ども扱いするなあああ!!!」

 シュンは自身の頭を掻きながら言う。

「いや、こいつめんどくさっ!!!」

 そこで、ふと思い出したシュンは、カバンの中からハチミツの練り込まれたパンを取り出した。

「ほら、甘いもんだぞ。食うか?」

「うえっ、ぐすっ、だべるぅぅ……」

 狐神はシュンから渡されたパンを両手で持って、狐というよりはリスの様にもしゃもしゃ食べ始めた。

「うぅ、ぐすっ」

 泣きながら食べ終える狐神にシュンは尋ねた。

「美味しかったか?」

「うぅ……。うえええ、ぐすっ、もう一個……」

「お前厚かましいな!?」

「パンをくれなきゃ末代まで祟るぅ……」

 狐神が言い続けるので、チフリが話してやる。

「シュン先輩は、もう末代ですよ」

 失礼なその発言にシュンはツッコミを入れた。

「誰が末代じゃ!!」

 仕方なく、シュンはもう一個くれてやると、やっと狐神は泣き止んだ。

「ふぅ、甘い物は久しぶりでうまかったのぉ」

 シュンは呆れて言った。

「お前、切り替え早いな……」

 改めて自称狐の神をまじまじと見てみる。

 赤みがかった金髪は、まさに狐のよう。頭に生えている耳もそうだ。

 たまに東の国出身の冒険者が着ている『キモノ』という服を着ている。色は赤。

 そして何より、ちんちくりんの幼女だ。

「しっかしまぁ、どうするかな」

 シュンは頭を抱えた。

「クエストは失敗なのか?」

 ユキミに聞かれ、シュンは「そりゃまぁ」と返してから言う。

「だって、封印の社はぶっ壊れたし、狐の神は封印解けているし、ギルドになんて説明したモノか……」

「っぐ、す、すまない。私が社を壊したばかりに……」

「いやいや、仕方なかったですよ、ユキミさん」

 今後の処遇を話し合っているというのに、その本人は能天気にうつらうつらとしていた。

「眠くなってきたのぉ……」

 シュンは何度目か分からないため息を吐いた。

「お前、ある意味大物だな」

 そこで、シュンは狐神の名前を聞いていないことを思い出した。

「そういや、お前。名は?」

「んにゃ……。サキタマ」

 そこまで言って狐の神、サキタマは眠る。

 それを見てチフリが武器を引き抜いた。

「せめて苦しまないように、今のうちに一瞬で仕留めるというのはどうです?」

 思わずシュンは立ち上がって止めた。

「いや、物騒だな!? 駄目だダメ!! この件はギルドに報告だ! そして指示を仰ぐ!」