ミーティングが終わり、斎川と円城寺の二人が残りあとのメンバーは寮へ帰った。
いつもなら夕陽が差し込む生徒会室だが、今日は曇っていて今にも雨が降りそうに厚い雲が広がっている。
久しぶりの二人きり。今日の議題をタブレットに写している円城寺の横顔を斎川はチラチラと見ている。
しばらくしてふと、タブレットに貼ってあるステッカーに目がいった。それは円城寺が愛読している、先日売り切れていたラノベ小説のキャラクターを形どったものだ。
「それ……」
「あ、いいだろ。ハヤと本屋行ったら新刊見つけてさあ。そのノベルティなんだ」
(佑月と?)
聞かなければよかったと斎川は瞬時に後悔した。二人で自転車を借りてあの本屋に行ったのだろうか。いつの間に? いつも二人で走っていたあの坂道や、商店街を佑月に知られたくなかった。過去の円城寺を良く知る佑月が知らない、斎川との風景だったからだ。
黙ってしまった斎川が気になったのか、円城寺はタブレットから視線を上げ、斎川を見る。
「斎ちゃん?」
「……二人で行くなんて、危ないじゃないか。円城寺に何かあったらどうするんだ」
「大丈夫だよ、ハヤが助けてくれるからさあ」
その言葉に、斎川は目を見開いた。
『なんかあったら斎ちゃんが助けてくれるし。なあ?』
(この前は、そう言っていたくせに)
バン、と机を叩き斎川は立ち上がる。その大きな音に円城寺は驚いて危うくタブレットを落としそうになった。
「どうしたの、斎ちゃん」
今まで斎川が円城寺に感情をあらわにしたことはない。それだけにキョトンとした表情で斎川を見つめている。一方、斎川も自分の感情を抑えられなかったことにショックを隠しきれなかった。円城寺の視線に耐えられず、目を背けて拳を握る。
「……なんであいつと行くんだよ」
少しばかり悪意の入った斎川らしからぬその言葉に、円城寺は気分を害したのだろう。口を尖らせてタブレットに視線を戻した。
「ハヤが嫌いなの? せっかく一緒に例のお出掛け三人で行こうかなあって思っていたのに」
それを聞いて斎川は目眩を起こしそうになり、足元がぐらりと揺れる。心の底から絶望感が湧き上がった。
(ああ、そうか。円城寺の隣は……俺じゃなくてもいいんだ)
「……先、戻る」
円城寺に背を向ける斎川。そのまま部屋を出て行こうとした時、円城寺が席を立った。
「斎ちゃん?」
そのとき、斎川ははじめて円城寺の言葉を無視して戸を閉めた。
いつもなら夕陽が差し込む生徒会室だが、今日は曇っていて今にも雨が降りそうに厚い雲が広がっている。
久しぶりの二人きり。今日の議題をタブレットに写している円城寺の横顔を斎川はチラチラと見ている。
しばらくしてふと、タブレットに貼ってあるステッカーに目がいった。それは円城寺が愛読している、先日売り切れていたラノベ小説のキャラクターを形どったものだ。
「それ……」
「あ、いいだろ。ハヤと本屋行ったら新刊見つけてさあ。そのノベルティなんだ」
(佑月と?)
聞かなければよかったと斎川は瞬時に後悔した。二人で自転車を借りてあの本屋に行ったのだろうか。いつの間に? いつも二人で走っていたあの坂道や、商店街を佑月に知られたくなかった。過去の円城寺を良く知る佑月が知らない、斎川との風景だったからだ。
黙ってしまった斎川が気になったのか、円城寺はタブレットから視線を上げ、斎川を見る。
「斎ちゃん?」
「……二人で行くなんて、危ないじゃないか。円城寺に何かあったらどうするんだ」
「大丈夫だよ、ハヤが助けてくれるからさあ」
その言葉に、斎川は目を見開いた。
『なんかあったら斎ちゃんが助けてくれるし。なあ?』
(この前は、そう言っていたくせに)
バン、と机を叩き斎川は立ち上がる。その大きな音に円城寺は驚いて危うくタブレットを落としそうになった。
「どうしたの、斎ちゃん」
今まで斎川が円城寺に感情をあらわにしたことはない。それだけにキョトンとした表情で斎川を見つめている。一方、斎川も自分の感情を抑えられなかったことにショックを隠しきれなかった。円城寺の視線に耐えられず、目を背けて拳を握る。
「……なんであいつと行くんだよ」
少しばかり悪意の入った斎川らしからぬその言葉に、円城寺は気分を害したのだろう。口を尖らせてタブレットに視線を戻した。
「ハヤが嫌いなの? せっかく一緒に例のお出掛け三人で行こうかなあって思っていたのに」
それを聞いて斎川は目眩を起こしそうになり、足元がぐらりと揺れる。心の底から絶望感が湧き上がった。
(ああ、そうか。円城寺の隣は……俺じゃなくてもいいんだ)
「……先、戻る」
円城寺に背を向ける斎川。そのまま部屋を出て行こうとした時、円城寺が席を立った。
「斎ちゃん?」
そのとき、斎川ははじめて円城寺の言葉を無視して戸を閉めた。



