愛され婚活するならお天気雪の日、九尾の妖狐をお相手に。

 雰囲気に飲まれていてなかなか声が出せず、慌てながら私は必死にそう言い、彼は満足げに頷いた。

「わかった。だが、今は嫁入りの刻だ。一時的にかくりよへと来て貰おう。何。時の流れは同じではない。今の、この場にとて戻って来ることは可能なのだから」

 白い狐はそう言い、私は無言のままでこくこくと頷いた。


◇◆◇


 気が付けば、広く立派な日本家屋内の畳み敷の部屋に居た。天井がとても高い。鴨居が立派過ぎる。置いている壺が高価そう。

 どう考えてもお金持ちの邸……凄い。なんというか、『お屋敷』だった。

 スッと襖が滑るように開き、そこには、初めて見る背の高い銀髪の美青年がいた。

「ああ。気が付いたか。悪かったな。あの場では、お前をすぐに帰すことは出来なかった。今は従姉妹の婚礼も終わった。宴も終わり、客人が帰るまで、いま少し待て」

「は……はい」

 私は聞き覚えのある低い声を聞いて、彼をぽかんとして見上げた。あ。あの白い狐と同じ、赤い瞳……あやかしだから、人にも化けられるんだ……。

「寒いだろう。熱い茶でも飲むか……ああ。ありがとう」