愛され婚活するならお天気雪の日、九尾の妖狐をお相手に。

 ぶわっと何か、強い風圧のようなものを感じた。とても強いもの、何かの力を持つ者が近付いて来ている。

 私は本能で、思わず後ずさろうと思った。けれど、出来なかった。不思議に靴底が縫い止められたかのようにして、足が動かないのだ。

 ああ……近付いて来る。

 その時、長い尾が何本もある狐が、二本足で歩いていた。不思議だ。私はその狐がこの行列の中で一番に強いのだろうと何故か本能的に理解出来た。

 ただそこに居るだけだというのに圧倒的な存在感を示し、明らかな強者であるゆえのゆったりとした余裕ある所作、居並ぶ花嫁行列の狐たちとは全く違う。

 白い狐はチラリと横目で、私を認識したような気がした。わからない。そう思っただけで、実際にはそうではなかったのかもしれない。

 ……シャンッ……シャンッ……シャンッ……シャンッ……シャンッ……。

 私は目の前の光景に驚き戸惑いながらも、いつかこの狐の仮面の行列は終わるのだろうと頭のどこかで思った。そうして、慌ただしくもありふれた、ただの日常に戻るのだろうと……。

 私に目を留めたあやかしが、すぐそこで足を停めるまでは。