愛され婚活するならお天気雪の日、九尾の妖狐をお相手に。

「そうだ。我らは同族で結婚すれば、血が濃くなるばかり。あやかしは別のあやかしとは交われぬ。人の子はあやかしと番える。人の子を入れれば、新しい血が入る。だから、珍しくかくりよに迷い込んだ人の子と縁づければ、それだけ評価されるんだ……安心しろ。嫁入りの無理強いなど考えていない。もう少ししたら、元の場所元の時間に返してやろう」

 確かに、中世ヨーロッパの戦争ではなく結婚を使って勢力を拡大したというかのハフスブルク家も、行き過ぎた近親結婚で不幸な末路を辿り、結局はそれで血が途絶え滅びてしまうことになった。

 個体が少ない中で結婚を繰り返し血が濃くなり過ぎることは、環境に変化し進化し続けることを前提にした生き物には、禁忌とされることなのかもしれない。

 そして、白い狐は私の危害を加えるつもりなどはなく、助けて欲しいと言った言葉そのままに、出勤時間のあの時へ返してくれるらしい。

 え。すごく……親切。あやかしなのに。

 さっきも、お茶出しをしてくれた子に礼を言っていたし、そういうところからも誠実さと彼の持つ品性を感じるわ。

「あのっ……!」