いずれ、終われますように。


 日曜日。
 夜。今日は星が良く見える。

 再生数はまだ伸びていない。私の友達にしか見てもらえていない。
 次の動画の準備、進めなきゃだよな。
 昨日上げたばっかりだけど、早め早めに動いた方がいい気がしていた。

 連絡してみよう。メッセージアプリを開く。
 公式アカウントからの通知が増えていた。


起きてる?

ねえ、動画のことで相談したいんだけど

あれ、寝ちゃったかな?

こんなに寝るの早かったっけ?

おかしいな

んー

そろそろ新しい動画、出したい

まだね、全然再生数伸びてないの

もっといろんな人に届けたいから

新しい動画出したい

寝ちゃったのか

明日にするか

良い夢見てるのかな~


 既読はつかない。いつもならすぐに既読つけてくれるのに。すぐ返信くれるのに。
 昼間に連絡すればよかった。

 今日は読書をした。本を読むの、昔から好き。でも、受験勉強のせいでずっと読めていなかった。
 でも、受験勉強の意味、成さなくなっちゃうな。
 せっかく志望校合格できそうだったのに。受験そのものが、なくなったのだ。

 お風呂、入ろう。



 夜が更けてきた頃。
 突然の電話。いつもなら鳴らない、固定電話が光りながら音を立てた。

「いたずら電話かな」

 両親はもう床に就いて、静まった家。そこに入った雑音。――不穏な音。

「もしもし」

 カチャっと音が鳴る。電話を手に取り、耳元に近づけた。

希咲(きさき)ちゃん?」

「はい」

「良かった……、出てくれて」

 誰なのかがわからない。電話番号なんて一つ一つ覚えているわけない。

凛帆(りほ)の母です。久しぶりだよね」

 凛帆(りほ)ママか。話すのは、中学校の入学式ぶりだ。……何の用だろう。

「あのね、希咲(きさき)ちゃんに話さなきゃいけないことがあって」

 私に? 何かあるかな。凛帆(りほ)からの伝言かな。
 いや、でも、そんなことはしないはず。
 ひたすらに効率を好んでいるのに伝言なんてするのかな。














凛帆(りほ)、死んじゃったの」



















 ……………………。




















「え、、」

「死んじゃったのよ」

「何言ってるの凛帆(りほ)ママ。そんな冗談、言わないでよ。冗談、好きじゃない」

「冗談じゃないよ。何一つ、嘘なんてついてないわ。本当」

「嘘だよ。そんなわけない」

「事故だったの」

「ありえない。だって、昨日、会ったよ。いつもの河川敷で……」

「その帰り道だと思う。帰ってこなくってね。病院に運ばれてたの。何とか朝まで持ってた。ごめんね、整理がつかなくって呼べなかった。傷だらけだったから」

 声にならない苦しみ。小さな嗚咽。きっと届いていない。だって、電話口を通した先には、息絶えた凛帆(りほ)が……。

 うぅ。

「本当なんだね、、」

「そう」

「なんで、凛帆(りほ)ママ平気そうなの?」

「私が無理そうだったら、希咲(きさき)ちゃん、もっと無理になるでしょ」

「うぅ……」

 電話、落としちゃった。
 膝から崩れ落ちちゃった。