朝。まだ日は東側にいる。
河川敷にはもう凛帆がいた。
「凛帆」
「希咲」
「おはよ」
「おはよう」
凛帆の隣に座る。スカートを押さえながら。
「動画、できた?」
いつもなら私が話を始める。
今日は珍しく凛帆が始めた。楽しみに思っていてくれているのかもしれない。
「もちろん」
「見せて」
スマホを取り出し、動画を再生し、手渡す。
凛帆は画面をまじまじと見つめている。綺麗な瞳が、キラキラと輝いている。
「こんな感じでどうかな?」
「上手すぎ」
「そんなことないよ」
「ねえ、これ本当に見てもらえるかな?」
不安げな表情。まだ希望は残っていそうだけど。
「見てくれるよ。いける」
「うーん」
ほっぺを膨らますのは、凛帆の癖。
「怖い?」
「この状況下みんな怖い思いしているよ」
「違う違う。動画上げることに対して」
時々噛み合わない会話。揃うこともあるのに。
親友でも、人は異なるからね。
「ああ。そっちか。どうせもう終わるんだからとは思っている。ちょっとだけ不安って感じ」
「そっか。思考が適応してきたね。この世界に」
「なんかやだな」
「ごめんごめん」
ふふ、と声を出して笑い合った。
「というか希咲、こんなすごいの作れるんだね。すごいよ」
もう一度再生して、再びこちらを見てくれた。
「これでもSNS結構やってるんで」
「中毒者だもんね」
悪い顔。良くない。
「ばれてたか」
「あたりまえ」
凛帆からスマホを返してもらう。
アプリを立ち上げる。
「じゃあ、上げるか」
「うん」
投稿ボタンをそっと押した。
「どのぐらい増えるかな? 再生回数」
「目指せ一万」
「目標高くない?」
「そうかな?」
「まあ、目標高くてもいいか」
二人で、いつまで、笑い合えるのかな。
よくわからないや。



