雨があがっても、君のとなりで

「蓮、帰ろ」


ショートホームの終わった教室で、ぼーっと座り込んでいる蓮。


ぐるぐると考え事をしている蓮は、悠真に声をかけられていることに気が付かなかった。


悠真が蓮の肩をトントンと叩いて「帰ろ」と繰り返しす。


蓮はゆっくりと悠真に目を向けた。


「え?悠真、部活は…?」


悠真は少し困ったような顔で笑った。


「今日は放課後空いてるから一緒に帰ろうって、朝話したばっかでしょ」


今日は金曜日でお互いに予定が空いているから、一緒に帰ろうと悠真が誘ったのだ。


「あ、そうだった。ごめん…」


すっかり約束を忘れてしまった蓮は、しゅんと小さくなっている。


「いいよ。それよりさ—————」 


悠真は机の上にあった蓮のスクールバッグを肩にかけ、ぐいっと蓮の顔を覗き込む。


「蓮、熱あるだろ」

「……え?」


視界がグラグラと揺れはじめ、悠真の声が遠くに聞こえた。


「ほら、着いたよ」

気がつくと、悠真の家の前だった。

「あれ?なんで…」

蓮は戸惑い、両手でごしごしと目を擦っている。


「最近無理してたんだろ。今日父さんも母さんも帰って来れないらしいし、家泊まりな」


玄関のドアを開けて、蓮を中へと促す。

「いや、大丈夫だって……」

蓮は、弱々しくも必死に抵抗する。

触れた体は熱を帯び、悠真を見上げる顔は赤くほてっていた。

普段はキリッとした目元も、今はとろんと緩んでいる。


「そんなぽやぽやした顔で何言ってんの」

もちろん、悠真はびくともしない。

「そんな顔してねえよ」

口では強がっていても、足元はおぼつかない。

「フラフラして歩けない?お姫様抱っこでもしてあげようか」

悠真にいたずらっぽく言われると、ようやく抵抗するのをやめた。


座って靴を脱ぎ始める。


蓮は悠真に腰を支えられ、歩かされるみたいにして寝室へと向かった。