雨があがっても、君のとなりで

お昼を食べ終えると、二人は着替えを済ませて体育館へと移動した。
 

悠真が部活の仲間とバスケの練習をしている。
蓮は隅に座って、悠真を目で追いかけた。


程よく筋肉がついて、血管の浮いた腕。
鍛え上げられて引き締まったからだ。


華奢ならんと並ぶと、その恵まれた体格はより引き立って見える。


小学生の頃はどちらかといえば悠真のほうが小さく、どこか幼い印象だった。


だが中学に入ってからバスケを始めると、ぐんぐん背が伸び逞しいからだつきになっていった。


悠真が爽やかにシュートを決めると、周りにいた女子たちから「かっこいい!」と黄色い歓声が飛んだ。


(……悠真は、みんなの王子様になったんだな)


二人が出会った頃、小学生になったばかりの頃の悠真は、泣き虫で寂しがり屋だった。


そんな悠真を、蓮は弟のように思っていた。


悠真の両親は大企業を指揮する重要な役割についていて、仕事で家を空けることも少なくなかった。


初めてお留守番をすることになった悠真は、放課後に運動場の隅にうずくまって泣いていた。


そんなとき、悠真に声をかけたのが蓮だった。


「どうして泣いてるの?どこかおけがしちゃった?」


悠真が顔をあげると、蓮は腰をかがめて心配そうに悠真を見ている。


「ちがうの」


悠真は首を振って答えた。


「きょうはママもパパもとおいところでお仕事してて、かえってこれないの」


悠真は、ポロシャツの袖をぎゅっと握って続けた。


「いい子で待ってるってやくそくしたけど、ボク、やっぱりひとりぼっちじゃさみしい」


それを聞くと、蓮はにっこりと悠真に笑いかけた。


「それなら、オレが一緒にいてあげるよ」


蓮の手が悠真の前に差し伸べられる。


「ほら、ふたりでかえろう」

「……うん!」


悠真はごしごしと涙を拭いて、蓮の手を取った。


悠真の手を引いて帰ったあの日のとを、蓮は今でも昨日のことのように覚えている。


それから、悠真は蓮にべったりとついて回るようになった。


甘えん坊で気弱な悠真を、自分が守ってやらないといけないと思っていた。


そんな悠真はいつの間にか、リーダーシップがあって心優しいバスケ部のエースになっていた。


今では蓮のほうが、悠真がかけてくれる優しい微笑みに救われている。


そして、その魅力に惹かれているのは蓮だけではないのだ。


(今の悠真に、俺ってもう必要ないんじゃね…?)


そう考えた途端、胸の奥がひどく痛んだ。

蓮は小さく息を吐き、膝を抱えて顔を埋めた。