雨があがっても、君のとなりで

授業中、悠真はふと窓際の席に座る蓮を見た。
真っ直ぐな黒髪に、雪のような白肌。
澄んだ切れ長の瞳が、真剣に黒板を見つめている。


蓮は昔から真面目だった。悠真は小学生の頃からずっと一緒にいるが、蓮が制服を着崩したり、授業中に居眠りをしたりする姿は一度も見たことがない。
どれだけ周りが授業をサボっていようと、蓮だけは違った。
いつだって、その目は真っ直ぐに未来を追いかけている。


中学生になって間もない頃、クラスメイトと話している蓮の笑顔を見たとき、悠真は胸がきゅっと締めつけられるように痛んだ。


その気持ちが何なのか、すぐにはわからなかった。
一人夜ご飯を食べながらぼんやりと眺めていた恋愛ドラマの主人公が、自分と同じように苦しんでいるのを見て、「これだ」と思った。


(俺、蓮に「恋」してるんだ———)


付き合い始めてからも、それまてと大して変わりはなかったが、ずっと蓮の隣にいられることが嬉しかった。


志望校が同じだった二人は、毎日のように図書館へ通い詰め、必死に勉強した。


そうした努力が報われ、二人はこの春、県内一の進学校に入学した。


高校生になってから、蓮は高級料理店でバイトを始めた。
多い週には五日以上、夜遅くまで働く日もある。
部活もバイトもしてこなかった蓮にとっては、きっと想像以上に大変なはずだ。


不器用ながらも努力家な蓮は、定期テストでも、毎週ある小テストでも、決して手を抜かない。
忙しい中でも予習復習を重ね、クラスでトップの成績を取り続けている。


蓮は、自分の努力や悩みを表に出さない。
どれだけ苦しくても、平気な顔をして一人で抱え込んでしまう。


「なんか困ったらいつでも言えよ」とよく伝えている。
でもいつも決まって、
「悩むことなんかねーよ」と笑って流されるだけだった。


このままでは"また"蓮の傷を癒してあげることができない。


ずっと隣にいるのに力になれない自分が、もどかしくてたまらなかった。


(目の下にうっすらクマできてるな。最近寝れてないのかな)