雨があがっても、君のとなりで

———そして今、その子供を前にして、怒り、悲しみ、恨み。


そんな生ぬるい言葉では言い表せない、黒く濁った感情が、彼女の腹の底でぐるぐると渦巻いている。


「お前さえ、お前さえ産まなければ……」


泣き崩れた母を前に、蓮は呆然と立ち尽くす。


ようやく言葉の意味を理解した蓮は、気がつけば外へ飛び出していた。


殴りつけるような雨に打たれ、叫び出したくなるような衝動に駆られながら走った。

(お母さんは、オレのことなんてほしくなかったんだ)

行きたい場所があるわけじゃない。
どうして走っているのか、自分でもよくわからない。 


ただ、お腹の奥の方から、ぐつぐつと煮えたぎるように熱いものが込み上げてくる。


頬を濡らしているのが雨なのか涙なのか、もうよくわからない。


締め付けられるように胸が痛くて、溺れているみたいに息が苦しい。


———それでも足は止まらない。


「あっ———」


蓮はつまずき、勢い余って地面に崩れ落ちた。


痛い。擦りむいた膝よりも、打ちつけた顔よりも、ずっとずっと胸が痛い。

孤独と絶望の雨に打たれ、蓮は動けなくなってしまった。