教室に二人っきりなんて聞いてない!


 しばらく席で待っていると俺のお子様ランチと鳴神くんのカレーがテーブルの上に並んだ。新幹線が描かれた立体型のプレート。四つに仕切られたところにはそれぞれ、チキンライスと目玉焼き、ハンバーグにエビフライ、スパゲティとフライドポテト。ミニサラダ、デザートにはプリンが乗っている。盛り付けは美しいが明らかに盛り過ぎだ。
 見た目はお子様ランチで中身は大人様ランチになっている。
 エビフライなんて有頭エビだし、お値段以上のハイクオリティなランチだった。あれ、お会計、メニュー表に書いてあった値段で大丈夫なんだろうか? 明らかにメニューのイラストと違った。
「お、おばちゃん、ほ、本当にこれ、俺食べていいんですか。お子様ランチって、豪華すぎてもう大人様ランチやし」
「あぁ、おばちゃん忘れとったわ。お子様には旗がいるわね」
 そう言った花田さんはキッチンから爪楊枝の旗を持ってくるとチキンライスの上に刺してくれた。豪華なのは俺だけじゃない。鳴神くんのカレーライスにはエビフライとトンカツが乗っている。花田のおばちゃんは値段はそのままでサービスだと言ってくれた。
 豪華すぎる。テーブルがキラキラに輝いていた。
「わぁ、あ、ありがとうございます! 今度は福子ばあちゃんと一緒にまた来ます」
 嬉しいわぁと花田さんは「ごゆっくりどうぞ」と笑ってカウンターの内側に戻っていった。
「鳴神くん。俺、ずっとお子様ランチ食べてみたかったんよ。大人になったら食べられへんし。夢叶ったわ」
「それはそれは、大変よろしゅうございました」
「えへへ、な、お子様ランチの写真撮っていい。この感動をぜひ後世に残したい」
 口元に手を当てながら笑っている鳴神くんは自分のカレーに手を向ける。
「ッ、後世って。ぜひぜひどうぞ、俺のも撮る?」
「うん、ありがと!」
 俺はポケットからスマホを取り出して、テーブルの上でキラキラと輝いているランチをスマホで撮影した。そして俺は撮ったばかりの豪華すぎるランチ画像を「宝物」アルバムに保存する。
「マジで神、ほら見て! 宝物が増えた!」
 俺は撮影したばかりの写真を鳴神くんに見せる。アルバムには今まで自分で作った料理の数々。それだけではなく友達と食べに行ったハンバーガーやコンビニのチキンまで写真に残している。俺の気分が上がる大切な写真たちだ。
「よかった。ハルの宝物が増えて」
「うん、じゃあ、さっそく食べよ!」
「じゃあ、いただきます」
 俺たちはあらためて向かい合い、手を合わせていただきますをした。