思ってもいない彼の言葉に、思わず「は」と口から息が漏れた。
それを彼はなにか勘違いしたのか、慌てた様子で早口で付け加える。
「いやいや。変な意味じゃなく、常連さんはだいたい連絡先を交換しているから!」
「……ああ、それなら。別に構いませんよ。男性から連絡先を聞かれて勘違いをする時代でもないですし」
どこか残念な、落胆したような気持ちを胸の奥に抱えながらも、私は冷静な口ぶりで言った。
「よかった。じゃあこの紙に書いてくれる? 俺も今ここで書くから同時に渡そう」
彼のこういう、どこまでも誠実で根は真面目なところが好きだ。
堅物に見える私の漆黒の黒髪とボブのヘアスタイル、勝ち気そうにみえるつり目がちな目とは違い、日川さんは髪も顔つきも柔らかで明るい。それでいて軽さやチャラさは全くない。
そこでようやく、ペンを持っていないことに気がついた。
「すみません。なんでもいいので、ペンを貸していただけますか」
また少し堅い物言いになってしまった、と大泥棒の仲間の剣士のような言葉が一瞬脳裏を過った時、「ふっ」と日川さんが息のような声を漏らした。
それを彼はなにか勘違いしたのか、慌てた様子で早口で付け加える。
「いやいや。変な意味じゃなく、常連さんはだいたい連絡先を交換しているから!」
「……ああ、それなら。別に構いませんよ。男性から連絡先を聞かれて勘違いをする時代でもないですし」
どこか残念な、落胆したような気持ちを胸の奥に抱えながらも、私は冷静な口ぶりで言った。
「よかった。じゃあこの紙に書いてくれる? 俺も今ここで書くから同時に渡そう」
彼のこういう、どこまでも誠実で根は真面目なところが好きだ。
堅物に見える私の漆黒の黒髪とボブのヘアスタイル、勝ち気そうにみえるつり目がちな目とは違い、日川さんは髪も顔つきも柔らかで明るい。それでいて軽さやチャラさは全くない。
そこでようやく、ペンを持っていないことに気がついた。
「すみません。なんでもいいので、ペンを貸していただけますか」
また少し堅い物言いになってしまった、と大泥棒の仲間の剣士のような言葉が一瞬脳裏を過った時、「ふっ」と日川さんが息のような声を漏らした。

