それはある穏やかで柔らかな冬の日差しが降り注ぐ午後のこと。私はいつも通り仕事が終わったあとに、優斗さんのコインランドリーへ行った。
そして雑談している途中、彼がぽつりと呟いたのだ。
「そういや杏奈ちゃんは、いつから俺のこと好きでいてくれたの?」
そんなことをまさか尋ねられるとは思いもせず、私は思わず言葉に詰まった。
日川優斗さんのことは、今みたいにこうして会話をする前から好印象があり、好意も抱いていた。老若男女問わず常連客の一人ひとりと真摯に向き合い、日々誰のことも蔑ろにしていない。そんな彼に人間としての尊敬は勿論のこと、恋心が明確にあった。
私が黙っていたのが気になったのか、優斗さんが焦ったように付け加える。
「あ、いやっ。言いたくないなら無理に言わなくて良いからな」
「いえ、そうじゃなくて。今思い返すと随分前から優斗さんのことが好きだったんだなぁと思って」
「え、そんな前から好きでいてくれたの?」
「でもはっきり好きだなと強く思ったのは……やっぱりあの時からです」
優斗さんがきょとんとした顔で私を見下ろす。
「あの時って?」
「あれはたしか優斗さんと結構話すようになって間もない頃……」
私は“好きになった理由”を彼に話し始めた。
あれは彼と話す頻度が増えて間もない頃のことだった。秋が深まり日に日に夜の暗闇が迫る時刻が早くなっていく、私はその日もコインランドリーに来ていた。
店内に入った時既に、優斗さんは男性客と話している最中だった。そのため挨拶せずに空いているドラムに黙々と洗濯物を放り込んでいく。そしてドラムの扉を閉めてお金を入れ、去ろうとした時だった。
「なあ優斗。お前もそろそろ結婚しろよぉ」
たまたま男性客と優斗さんの会話が耳に飛び込んできたーー男性客の声が大きかったせいだ。
「今そんな相手いねえよ。それに俺は暫く仕事一筋でいたいんだよ」
「だったら俺が誰か紹介するぜ。どんな奴が好みなんだ? なんならちょっとつまみ食いしてさ、飽きたり合わなかったら断りゃいーじゃん。お前も男ならさ……」
勝手に聞いてしまったとはいえ下世話な会話の内容に、心底げんなりした。
優斗さんとどういう間柄なのか知らないがーータメ口で名前を呼んでいるし、見かけからしておそらく同い年くらいだろうかーー金髪に両耳にピアスを付けている、見るからにチャラい雰囲気の男性の言葉に、私はその場にいるのが耐えられず帰ろうとした時だ。
そして雑談している途中、彼がぽつりと呟いたのだ。
「そういや杏奈ちゃんは、いつから俺のこと好きでいてくれたの?」
そんなことをまさか尋ねられるとは思いもせず、私は思わず言葉に詰まった。
日川優斗さんのことは、今みたいにこうして会話をする前から好印象があり、好意も抱いていた。老若男女問わず常連客の一人ひとりと真摯に向き合い、日々誰のことも蔑ろにしていない。そんな彼に人間としての尊敬は勿論のこと、恋心が明確にあった。
私が黙っていたのが気になったのか、優斗さんが焦ったように付け加える。
「あ、いやっ。言いたくないなら無理に言わなくて良いからな」
「いえ、そうじゃなくて。今思い返すと随分前から優斗さんのことが好きだったんだなぁと思って」
「え、そんな前から好きでいてくれたの?」
「でもはっきり好きだなと強く思ったのは……やっぱりあの時からです」
優斗さんがきょとんとした顔で私を見下ろす。
「あの時って?」
「あれはたしか優斗さんと結構話すようになって間もない頃……」
私は“好きになった理由”を彼に話し始めた。
あれは彼と話す頻度が増えて間もない頃のことだった。秋が深まり日に日に夜の暗闇が迫る時刻が早くなっていく、私はその日もコインランドリーに来ていた。
店内に入った時既に、優斗さんは男性客と話している最中だった。そのため挨拶せずに空いているドラムに黙々と洗濯物を放り込んでいく。そしてドラムの扉を閉めてお金を入れ、去ろうとした時だった。
「なあ優斗。お前もそろそろ結婚しろよぉ」
たまたま男性客と優斗さんの会話が耳に飛び込んできたーー男性客の声が大きかったせいだ。
「今そんな相手いねえよ。それに俺は暫く仕事一筋でいたいんだよ」
「だったら俺が誰か紹介するぜ。どんな奴が好みなんだ? なんならちょっとつまみ食いしてさ、飽きたり合わなかったら断りゃいーじゃん。お前も男ならさ……」
勝手に聞いてしまったとはいえ下世話な会話の内容に、心底げんなりした。
優斗さんとどういう間柄なのか知らないがーータメ口で名前を呼んでいるし、見かけからしておそらく同い年くらいだろうかーー金髪に両耳にピアスを付けている、見るからにチャラい雰囲気の男性の言葉に、私はその場にいるのが耐えられず帰ろうとした時だ。

