今日も、明日も。

彼とは六年ほど会っていないーー色々な事情があり成人式にも出席しなかったため尚更ーーのだが、真面目でしっかりしているようで天然なところがあるのは相変わらずのようだ。
「違います先生。こちらは日川優斗さん。この近くでコインランドリーを経営されている方です」
私が説明すると、先生が一歩前に出て隣に並んだ。
「初めまして日川さん。私は並木高校で教師をしております、春川大知と申します」
まるで風のない水面のように穏やかで落ち着いた、耳に心地よい声。顔を見なくても微笑んでいるだろうと分かる、人当たりのよい柔らかな声色。
絶望的なほど性に汚い生徒が多い中、誠実に生徒に向き合う性格や真面目で落ち着いていて、かといって硬すぎず優しくて天然なところに恋愛感情として惹かれていた。それと同時に心を救われてもいた。
然しなぜか優斗さんは先ほどから眉間にしわを寄せて、春川先生を見つめている。
「日川優斗といいます。コインランドリーで店長をしております。杏奈さんとは結婚を前提にお付き合いしています」
け、結婚……!? 優斗さんの発した言葉に驚き、思考が絡まって上手くまとまらない。私が何も言えなくなった、その時ーー
「おっと失礼。妻から電話が」
そう言うと春川先生は紺色のズボンの尻ポケットからスマホを取り出し、画面を見てフリックする。そしてスマホを耳に当てながら、やや早足で売り場から出ていった。