自分の悪口が聞こえる

 ある日ノベマ君(仮名)は、自分が周囲から疎外されていることに気付いた。自分の悪口が、始終聞こえてくるからだ。
「キモい」
「消えろ」
「ウザイ」
 その他にも、聞くに堪えない罵詈雑言が続いた。中には、ここに書けないようなことまであるというから恐ろしい。
 やがて一人でいるときにも悪口が聞こえてくるようになった。夜ベッドに寝ていても、ずっと声が聞こえてくるので、眠れなくなった。人に許された唯一の安息、睡眠すら失われてしまったのである。
 哀れなノベマ君は、すっかり参ってしまった。せめて眠れるようになれば……と思い、病院を受診する。
 ノベマ君は処方された薬を飲んだ。すると眠れるようになった。そのうち、悪口が減ってきた。聞こえていても、それほど気にならなくなってきた。
 薬を中断すると眠れなくなるので内服は続けているけれど、ノベマ君は今、穏やかな日々を過ごしている。