井戸から自分を呼んでいる声がして
のぞきこむ 道によりてのこと
井戸を覗けば髪が照る水底へのびて
いく
穴のなかは ごうごう、 逆巻くやうな、
ごうごう……
跡形もなく…きえゆくおと……
がきこえている
そういう 煮え沸つ赤い底がある
漁のように髪をひき、 倒れうつ地面。
あわてて ノートの切れはし、 破っ
たものを闇へと はなす
公園の井戸にたらしたかみが もゆる
紙がもゆる
底が煮えてもゆる
紙の一片も何もなくなっていく
「よく気づいたなぁ」
声がする
「地獄だと……」
きえるそこ
声はもう聞こえてこない
静まる公園の草たてる音
髪をゆらす風足元ふれる
一人の女を狙う井戸
通学路のみちにねむる
