【Vlog】家に届いた小包の中身を一緒に見ていただけませんか。

― 消えた五人と、残された記録 ―
取材・文/編集部特別取材班

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第一章 内部資料A ― 捜索記録の矛盾
本誌は、県警関係者より提供を受けた内部資料の写しを入手した。

平成8年12月18日付
「北潟町冷凍冷蔵倉庫 失踪事案 捜索報告書(抄)」
その中に、公式発表には存在しない記述がある。

・冷凍第二区画中央部において床面下より反響音を確認
・一定間隔で激しい叩きつけるような音
・内部温度測定時、一時的に−28℃を記録(機械停止状態)
・捜索員一名が耳鳴りおよび幻聴を訴える

さらに不可解なのは、最後の一文だ。
「内部より無数の叩打音を確認。音源特定不可。」
この一文は、最終版の報告書から削除されている。

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第二章 家族の証言
失踪者の一人、佐々木(仮名)さんの妻は、本誌に語った。
「主人は夜中に何度も目を覚ましていました。
“呼ばれてる、帰りたい”って言うんです。
どこに?って聞くと、“みんなが帰る場所”って。」

別の失踪者の母親は、こんな手紙を見せてくれた。
便箋の端に書かれた走り書き。
「床の下が鳴る。空気が冷たいのに、汗が止まらない。耳元で無数の声が聞こえる。『埋めねでくんつえ、待ってくんつえって。』」

くんつえ。とは、この辺で、「○○してください」という表現だそうだ。
かの空洞には、何が埋まっているのだろうか。何を待っているのだろうか。

公式には「充填処理済み」となっている。
だが。
複数の従業員は言う。
「完全には埋まっていなかった」

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第三章 読経テープの異音
夜間作業中に流されていた読経テープ。
その一本を、元従業員が保管していた。
本誌は音響専門家に解析を依頼した。

結果。
読経の背後に、微弱な低周波ノイズが確認された。
速度を落とし、周波数を調整すると――
断続的な音声のようなものが浮かび上がる。

「……さむいなし。××聞けねえ。」
「……腹減ったなし……」
「……煤(スス)さ喰われっぞない。」

音響専門家は慎重に言葉を選びながら述べた。

「偶然のノイズが言語に聞こえることはあります。
ただし、この繰り返しの規則性は説明が難しい。」

録音日は、失踪当夜のものだった。
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第四章 ダクト内部調査

平成9年1月、倉庫は一時閉鎖された。
その際、ダクト内部の点検が実施されている。
点検報告書(社内用)より抜粋。

・内部に原因不明の擦過痕多数
・点検中は機械稼働停止も、謎の反響音が継続。
・一部区間に黒々とした動物の体毛のような様繊維物質確認(分析不能)

ダクトは人が通れる大きさではない。
しかし、擦過痕は「内側から」伸びていたという。
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第五章 最後の映像

警察が押収した監視映像。
ノイズの直前、五人の視線は一点に集中していた。
そこは、床中央。
ちょうど、かつて空洞が報告された位置である。
解析画像を拡大すると、床面に微かな歪みが見える。
まるで、下から圧がかかっているかのように。
その直後、映像は乱れ、五人は消える。
切断痕なし。
編集痕なし。
物理的説明なし。
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第六章 再稼働
平成9年3月。
倉庫は静かに再稼働した。
神棚は以前より大きくなり、榊が絶えない。
夜間作業では、今も読経が流れているという。
だが、最近になって新たな証言が寄せられた。
「冷凍庫の奥に霜がつく形が、人の手に見える」
「ダクトから落ちる水滴が、赤く見えた」
「空の区画から、五人分の足音がする」
町はコメントを控えている。
スポンサー企業も沈黙している。
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終章 閉じ込められたもの
冷凍庫とは、腐敗を止める場所だ。
時間を止める場所。
もしあの建物が、
何かを封じ込めるために建てられたのだとしたら。
それは、保管庫ではない。
封印庫だ。
失踪した五人は、
“出て行った”のではない。
“下へ行った”のではないか。
あの、設計図にない空洞へ。
そして今も。
氷点下の底で、叩いているのかもしれない。
ドン。
ドン。
ドン。