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室井 白映(むろい・はくえい)

本名:室井 政次(むろい まさじ)
生年:大正3年(1914年)
没年:昭和42年(1967年)
出身地:東北地方・谷津地域(北潟市南寺町)

■ 略歴

大正3年、北潟市南寺町の味噌醸造家の次男として生まれる。
白壁の蔵が立ち並ぶ町で育ち、幼少より祭囃子や太鼓の音に親しむ。

旧制中学在学中より短歌や随筆を地方新聞へ投稿。
昭和初期、仙台の旧制高等学校を経て東京帝国大学文学部国文学科に進学。
在学中は象徴派詩や郷土文学に傾倒し、同人誌『暁鐘』に参加。

昭和19年応召、南方戦線に従軍。
終戦をシンガポールにて迎える。復員後、郷里に戻る。

戦火こそ免れた北潟の町も、戦後の混乱のなかで衰退の兆しを見せていた。
この「失われゆく風景」と「戻らぬ時間」への感覚が、白映文学の出発点となる。

昭和22年、短篇集
**『遠き郷愁』**刊行。
収録作「蔵通りの人々」が地方文壇で静かな評価を受ける。

以後、中央文壇と距離を置きながら、
郷土を舞台にした叙情的怪異短篇を発表。

昭和42年、胃癌のため逝去。享年53。

■ ペンネーム「白映」の由来

故郷の蔵通りの白壁に夕陽が映る光景を好み、
「白壁に映る影」を象徴化して「白映」と号した。

本人は晩年の随筆で、

「私の書くものは、白い壁に映るものばかりだ」

と記している。

■ 作風と特徴

郷愁を基調とする叙情文学

日常のなかに入り込む静かな怪異

音(太鼓・風鈴・汽笛)を象徴的に用いる

戦争体験を直接描かず、喪失感として滲ませる

会話に谷津方言を自然に混ぜる

批評家は彼を、

「風景の鎮魂者」

と評した。

■ 主な著作(架空)

『遠き郷愁』(昭和22年)

『失われた白壁』(昭和25年)

『北潟幻燈』(昭和29年)

『雪後蔵影』(昭和33年)

『白映随筆集』(昭和40年)

■ 人物像

寡黙で穏やか

酒は弱く、甘いものを好む

取材と称して夜の蔵通りを歩く癖があった

太鼓の音を「町の心臓」と呼んだ

■ 文学的位置づけ(架空)

中央の大きな文学賞とは縁が薄かったが、
東北地方文学の静かな系譜において重要な存在とされる。

昭和50年代に再評価が進み、
「郷愁怪異文学」の先駆的作家として全集が刊行された。