さわやかイケメンが破廉恥なことを考えています。



 駅ホームのアナウンスが流れる。昨日、取り違えた推しの教科書をつい、読み込んでしまって、推しが乗る電車に乗り遅れてしまった。

 同じ電車に乗るから意味があるのに……

 推しの教科書読んでみて、地球の外に興味なかったが、意外に面白いんだなって思えた。

 推し物に触れられたのだから良き! ってあれ? ……もしかして……


「川崎!…あ…おはよう」
「お…おっおはよう……」

 うわ……驚いて声掛けてしまったけど……いや、待てよ。これって、推しと仲良くなれるチャンスでは!

「……河東ってこの線なんだ」
「うん……」

 俺の隣に推しがいる! 寝坊して逆に良かった!(大歓喜)

「なぁ、川崎って選択科目、地学だよな?」
「そ……そうだけど?」

 やっぱりそうか……

「なんで地学にしたの?」
「地球科学って壮大って感じしない……?」
「……なんだよそれ」

 ぐっっ!隣で推しが俺を見てる(河東バイアス)……

「かわいいな……」

 あっ! やべっ!(心の声が)

 アナウンスと共に電車がホームに入ってきた。川崎が、俺を見ていたが笑って誤魔化した。

 聞かれたかな……ああ! もう教科書なんてどうだっていい!(よくない)

 電車のドアが開く。結構な人数が降りて行き、混んでいる電車へ乗り込んだ。後ろから押され、揉みくちゃになりながら川崎を守るよう前に立った。

 この時間やっぱ混んでな……

「……大丈夫?」
「……うん、大丈夫」

 嗚呼!? 上目遣いの推しぃぃ!(昇天)

 突然、電車が揺れて更に川崎と近くなった。俺の髪が川崎の耳に触れてる。そして肩が目の前に____

 これってラッキー至近距離!! (供給過多でパニック)

 俺は、取り敢えず落ち着けと深呼吸を繰り返した。

「……ごめん…もう少しだから我慢して」

 推しがこんなに近くにいる(過呼吸)……

 俺は、どさくさに紛れて川崎の肩に額を置いた。禁忌なのは承知。だとしても! どうだっていい!
 
 車内のアナウンスが流れドアが開く。我に帰った俺は、顔を開けて川崎に声を掛けた。

「川崎降りないの?」
「……ふぇ?」

 え……推しが涙目で顔が赤い……え!? え!?

 俺は、ボーっとしている川崎の腕を掴み電車を降りた。

「……ああ、ありがと……」川崎は、目頭を指で押さえぎこちなく礼を言った。

 これって……俺のこと好きじゃ……推しが……川崎がああああ!!

「おお! 玲陽じゃん! 今の電車だった?」

 チッ…… 未久里!

「あ……うん、そう」

 笹野未久里とは、俺の家が近所でいつの間にか、腐れ縁の仲になってた幼馴染み。周囲が、肯定してくれるのに、こいつだけはいつも否定してくる。口うるさいしで、ウザったいのに、何故か一緒にいるのが楽だった。

「え? 川崎と一緒?」
「……未久里、ウザい」
「そうゆーなって!」

 川崎は? ああ、バスケ部のやつ(新田?
)と一緒か……ってか、あの顔(河東ビジョン)……

「……かわいいかったな」
「え? 俺が?」未久里は、目をうるうるさせ変なポーズまで付けた。
「うぇ、おまえじゃねぇ」
「は? 超が付くほど可愛いだろが! つーか、どうしたんだよ最近! あんな遅刻魔だった玲陽がちゃんと学校来てるなんて……さては、なんかあったな! 風紀委員の俺に言いなさい! 」
「何もないって。ピアスバチバチの風紀委員に遅刻を問われてもね」
「あのな、これは個性だと大事にしなさいって先輩に言わてんだよ」
「うっぜぇ……」

 俺は、後方を歩く川崎と新田に目をやった。

 いいな、俺も川崎の隣りで歩きたい……