さわやかイケメンが破廉恥なことを考えています。



 朝の挨拶を交わすクラスメイト達。いつもと変わらないのに、俺の心はどんより厚めに曇っていた。
 例のドスケベ…いや、破廉恥教科書を(俺の顔云々は置いといて)真面目に隈なく見てみたが、持ち主の名前が書かれてないのだ。俺の憶測で、河東に聞くのもどうだろうとか、そもそもなんて聞くのがいいのか、ずっと考えいた。
 そこまで、仲良いわけでもなければ、一軍男子といわれてる河東と個人的な会話など一切ない。男同士だし、ふざけた落書きと思えばいいのだけれど、内容が俺ってのが非常に聞きにくい。というか、極力イケメンと関わりたくない。

「川崎、おはよう」

 今日も、フレッシュレモンみたいな『さわやかイケメン』撒き散らし、ご登場いや、ご登校してきた河東玲陽(かわとうれお)は、中々挨拶しない俺に、ん? っという顔をしたので「……おはよう」と返し席に座った。

 ……ふ…不自然じゃん! っていつもどう返してた?

「川崎ぃぃどうした難しい顔して」部活が一緒である友人の木村真樹(きむらまき)は、俺の顔を覗きんできた。
「なんでもない」俺は、その顔を押し退けた。
「なになに〜〜悩み事?」
「なんでもないってば」俺は、ふざけてくる木村の頭に平手チョップを食らわせた。
「いってぇ!」木村は、わざとらしく頭押さえた。
「おまえさ、河東と仲良かったけ?」木村が小声で聞いてきた。
「いや、全然」
「だよな……さっき、名前呼ばれてたからさぁいつの間に!って思って」
「席が近いし、たまたまだろ」
「ん……河東が、一軍以外名前で呼んでんの聞いたことないっつーか」木村は、考える仕草をした。
「そっか? なんでそんなこだわるんだよ」
「いや、仲良かったらさぁ、バスケ部勧に誘して女子ファン呼ぶ作戦的な……」木村は、目を輝かせた。
「やめろ……それはやめてくれ!」ゆらりと闇の俺が、木村の腕を掴みキリキリと締め上げた。
「おお……分かった分かったから、落ち着けって…あっチャイム鳴ったし!」木村は、自分の席へ逃げるように去っていった。

 俺は、改めて隣の『さわやかイケメン』に目をやった。パーツ全てが整っていて、顔というキャンパスにバランスよく配置されている。まるで美術作品みたいだ。そんな絵に描いたようなやつが、あんな絵を描くなんて。
 
 全く、イケメンにまともなやつはいないのか?

 河東は、前の席の女子と楽しそうに話していた。そいつ、変態ドスケベ野郎だから気を付けろ!って言ってやろうか、いや、俺なんか誰も信じないだろう。逆に、河東ファンに袋叩きにされそうだ。そんなことを考えてたら、河東とバチっと目が合ってしまった。河東は、さわやかに微笑んでくる。俺は、面食らって顔を逸らした。

 俺には、嘘っぱちの『さわやかイケメン』通じないんだからな! この! 破廉恥野郎!