さわやかイケメンが破廉恥なことを考えています。



 バスケボール県大会予選をうちの美爽(みさわ)高等学校で行われることになった。対戦相手である第一都和高等学校は、バスケットボールに特化した高校で県内でベストⅤに入る強豪チームだ。
 俺は、試合に出れないが補欠メンバーとしてチームベンチ近くの客席にいた。
 新田と木村は、いつもと違う真剣な表情に緊張感が伝わってくる。

「新田! 木村! ファイティン!」俺は、軽く拳を突き出した。新田と木村も同じポーズをし笑った。

 河東に『だっ嫌いだ』宣言してから、駅で
待ち伏せされることがなくなった。辺りを見回しても河東の姿はなく、久しぶりに穏やかな気持ちで登校していた。が! 今日、登校中異変を感じ振り返った。河東がとぼとぼ俺の後ろを歩いていて、その後ろを河東の取り巻き女子(一部)が歩いて来ていた。

 どおりで、あっちこっちから視線感じると思ったんだ! (イラっと)

「おい!」俺は、後ろを歩く河東に言った。

 河東は、びくっとなり後退った。俺は、構わず近付いて行くと河東は、慌てて取り巻き女子の後ろへ隠れた。

 はぁ……(イライラ)

「なんか用かよ?」俺は、河東を睨んだ。
「ああ……川崎が……俺を……嫌い」河東は、めそめそ泣き出した。

 そう思うなら寄ってくるなよ!(イライラMAX)

「あのな! なんで嫌いっていったか分かるか? 」俺は、めそめそ泣く河東に詰め寄った。
「分かるまで、話しかけてくるな! 寄ってくるな! いいな!」俺は、更に号泣する河東に畳み掛けた。

 またまた、やってしまったのだ。嫌われてるって分かってるなら、寄ってこなけりゃいいのに、なんで俺に執着するんだよ!

  嗚呼、そんなことより! 今は、試合に集中!集中!

 試合が始まった。どちらも接戦で、流石強豪こうなだけあって、ポイントガード(PG)判断力が半端ない。俺らのチーム、岬先輩もいつもより気合いが入っていた。
 白熱した試合を繰り広け、同点のまま五分間のオーバータイムに突入した。試合終了まで残り三分。相手チームにゴールされてしまった。残り二分弱で、木村にボールがパスされ、新田にボールがパスされた。新田が、相手チームのディフェンスを追い抜き、ロングシュート____リングにバウンドし外れる____試合終了のホイッスルが鳴る。相手チームに歓声が上がった。

 俺は、込み上げる感情をグッと耐えた。

「……よくやった。頑張ったよ」顧問の柴田先輩が行った。
「……すみません先輩…俺がミスったせいで……」悔しそうな新田。

 俺は、抑えきれなくなり体育館を出た。

「……うっ…っっ」

 これまで、抑えていた感情が溢れて止まらなかった。皆んなの悔しさ分かるのに、なんで俺は、試合に出れなかったんだ! 俺だったらこしてたのに! バスケ好きなのになんでもう出来ないだ!

「……どうして俺なんだよ!」俺は、左足の太腿をぐーでバシバシ叩いた。

 その手を掴まれ、驚いて顔を上げた。そこに河東が立っていて、神妙な表情で俺を見ていた。
「離せよ! 」俺は、鼻を啜り河東を睨んだ。
「離さない!」河東は、掴んだ手をぐっと握った。
「適当にやってるやつに、俺の気持ちなんか分からないだろ! 」
「……ごめん! 努力してきた川崎になんだとか言ってごめん……」
「……うっ……」また、感情が溢れ涙が頬を伝う。俺は、河東に見られたくなくて顔を背けた。
「これ……借りたタオル汚しちゃったから新しいやつ返すよ」河東は、掴んでいた手にタオルを置いた。
「試合見てたよ……凄いねバスケ部」
「……当たり前だろ! 新田と木村がいるんだから……」
「それだけいいたかったから」河東は、少し赤い目をしていて、それを隠すように俯き去っていった。
 俺は、河東から渡されたタオルに顔を近づけた。微かに香る柔軟剤と、ひだまりの匂いがした。
 再びチームベンチへ戻った。新田と木村が、悔し涙に照れ笑いが混じり、ついに真剣に泣き出した新田を俺と木村で励ました。

 新田! 木村! 俺らズッ友! 美爽高等学校バスケ部だ!