さわやかイケメンが破廉恥なことを考えています。




 河東は、相変わらず隣の席のから『何処行くの?』と聞いてくる。
「トイレだよ!」俺は、若干、キレ気味に答えた。
「え……俺も行く!」河東がおかしな事を言い出した。

 は? 正気か?(震え)

「おい! 玲陽!冗談でもそれはやめろ!」笹野は、見兼ねて河東を止めに入った。
「なんだよ! 未久里!」
「川崎、遠いトイレにいっといれ〜〜」
「はあ!? なんだそれ! 俺も一緒に行くの! 離せって! 」

 笹野は、暴れる河東を取り押さえ、俺に早く行くよう促した。

 ぎゃあああ!! 破廉恥変態イケメン!!

 俺は、教室から遠いトイレまで猛ダッシュした。

 *

 昼休みが始まり俺に「何処行くの?」と聞いてきた河東。
 タイミングよく新田と木村が、俺の席にきてきた。

「そっかそっか……新田と木村」河東は、死んだ魚の目をしたままニッコリ笑った。徒ならぬ負の圧わ感じた二人は、ビビりながら俺を木村の席の方へ引っ張った。
「はぁ……生きた心地がしなかった」と木村。
「川崎、俺ら頑張ったよな!」新田は、半ベソで持参弁当の卵焼きをもぐもぐやった。
「うん、ありがと」俺は、ぐーを突き出し軽く拳を付き合った。
「……あのさ、俺……バスケ部辞めるわ」
 二人共、ショックなのか『え?』という顔をしたまま動かなくなった。
「あはは、嘘だろ?」木村が笑った。
「そ……そうだよな! 冗談キツいって」新田も笑った。
 俺は、黙々とコロッケパンを頬張り、牛乳パックをずずっと吸った。
「前に怪我した時の影響でさ……激しい運動出来ないんだって」
「……嘘だろ……あんなに頑張ってたのに」新田は、俺よりも悔しいという顔をした。
「マジか……」木村は、それ以上何も言わず黙ってしまった。
「川崎! 俺も一緒に食べていい?」河東は、弁当を持って近くの席に座った。
「玲陽! ったく……知らねぇぞ!」笹野は、河東を止めに入ってくれたが、全然聞いてない。
「何の話してた?」河東は、弁当を広げ『さわやかイケメン』に似合わない、きんぴらごぼうを箸で摘み食べた。
 俺と新田と木村は、突然の河東の圧にたじろいだ。

 おい! 空気の読めないさわやかイケメン!!

「……川崎がバスケ部辞めるって話……」木村が言ったのを新田が止めた。
「え!? そうなん?」
「うん、まぁ…な」俺は、河東の問いに笑って誤魔化した。
「なんだ! じゃぁさ! 帰りも一緒に帰れるじゃん!」

 ん……? なんだとは?(イラっと)

「いや、河東だって部活あるだろ」俺は、河東が美術部なのを知ってて聞いた。
「部活? どうせつまんないし」

 はあ……?(イライラ)

「いいのいいの! 適当で!」河東は、能天気に笑う。

 適当で……?(イライラMAX!)


 俺は、机を両手で叩き立ち上がった。

「川崎……?」河東は、ポカンとした顔で俺を見る。

 俺は、自分の席へ戻り、あの『破廉恥教科書』を持って河東に押し付けた。

「あのさ…… バスケが好きで俺なりに努力してきたんだ……なんだとはなんだよ? 内容は兎も角……ここまで絵が描けるって…努力したからじゃないのか? 無神経で! 自己中で! 顔だけのおまえみたいなやつ! 大っ嫌いなんだよ!」

 河東は、俺が押し付けた教科書をパラパラめくった。

「あ……えっと…これは……」様子のおかしい河東。

「え……? 嫌い……俺が…嫌い? 川崎は俺が嫌い……?」
「ああ! そうだよ!」

 今までのやつもそうだった……こういう自己中で顔だけのやつは、逆ギレするに違いない! 『さわやかイケメン崩壊』だな!

「…うっ…うっっ……」

 河東の頬に涙が伝う。鼻を啜りしゃくり上げ、ぐしゃぐしゃの顔のまま走って教室を出て行ってしまった。

 ……え? 『さわやかイケメン河東』が泣いた!?(動揺)