【流出映像】図書館の防犯カメラに、様子のおかしい学生が映っていた―市ヶ谷・外堀沿いの大学で起きていること―

1-4.若年層におけるデジタル・フォークロア
【調査記録:2026年02月03日 11:12】
作業:縦型ショート動画アプリ、画像SNS、リアルタイム雑談配信サービスなどからのデータ抽出

 私は調査範囲を、さらに広げた。
 大学だけではなく、外堀沿いの高校や中学でも、同様の怪談が語られているのではないか。
 学校の怪談とは、その土地の「記憶」が子どもたちの語りを通じて伝承される、民俗学的に非常に重要な資料だ。

 短尺動画プラットフォームや、画像共有SNSのストーリー機能を遡ると、さまざまな視覚的な恐怖が発信されている様子を観察できる。
 また、リアルタイムの生配信サービスでのリスナーとのやり取りからは、編集されていない生の土地の記憶が浮き彫りになった。

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【縦型ショート動画アプリ:ハッシュタグ #学校の怪談 #四谷 #市ヶ谷 #飯田橋 #外堀】



動画内容: 放課後の薄暗い図書室。本棚の隙間をゆっくりと移動するカメラ。不穏な重低音のBGM。
テロップ: 「うちの図書室、ガチで『兵隊さん』出るんだけど……見たことある人いる?」

コメント欄:
user_yotsuya_99: 「それ有名。夕方一人で勉強してると、背後の本棚から誰かに見られてる感じがすごい。振り返っても誰もいないのに、視線だけはずっと感じる」

jk_hibari: 「私も! 視線が強すぎるからかな。だんだん頭と目の奥が痛くなってくる。司書の先生に言ったら『考えすぎ』って言われたけど、絶対誰かいる」

history_ota: 「その学校、戦前は近衛師団の関連施設だった場所らしいよ。だから軍人の霊が監視してるって噂」

anonymous_Z: 「勉強したくてもできなかった人たちが、私たちのことを羨ましそうに睨んでるんだよね。だから、その視線で頭が痛くなるって聞いた」

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【リアルタイム雑談配信サービス:雑談配信タイトル「四谷のヤバい話凸待ち」】
配信者:夜の四谷の住人(night_yotsuya_24)
地元出身の配信者(20代男性)
音声ログ(凸者との通話):
「……そう、足音とか気配がするのは、これ、まず当たり前のことね。これ、前提なの。だから『出る』っていうより『見られてる』んだよ。四谷とか市ヶ谷、飯田橋辺り出身の子らは、みんな言ってたね。中学とか高校の図書館に入るとさ、入った瞬間から、天井の隅とか本棚の隙間とか、あらゆる場所から視線を感じるって。感じない? 俺、あそこで勉強してたときは、いつも誰かに脳みそ覗かれてるみたいで、すっげぇ頭痛くなったんだわ。それで学校行けなくなったりもした。いや、遊びたかっただけじゃないって。いやいや、待って、ホント。具合悪くなるから。えっ、何、死んだ人とかいるんだ。へぇー、脳の病気で。俺もやばかったんかな。軍人の霊とか言われてるよね。うん、見た見た。最近、バズってる、ショート動画でしょ。あれ、四谷の高校だっけ。けど、俺はさ、もっとヤバい何かが監視してる気がするんだよね。何かってそんなのわからんよ。わかったら、霊能者とかなるでしょ。あと、ほら怪談師とか、検証系の配信者とか……できる? いや、できないって。できないから、こうやってダラダラ喋ってんじゃん……」

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【画像SNS:ストーリー】
調査対象: Y高校生徒関係者の投稿
取得日時: 2026年02月03日 11:34

1枚目のストーリー
投稿者: @yui_yotsu.08(ゆい|Y高2nd)


【画像:放課後の誰もいない図書室の本棚。不自然な影が映り込んでいる】

テキスト:
「図書室、誰もいないのに
視線感じるんだけど……
気のせい?💦」

反応(送信されたDMの抜粋)
@kenta_viva_soccer(KENTA)
「私もそれある!
特に閉架書庫の奥、マジで誰かいるよね」

@nana_04_pink(ななみ🎀)
「夕方以降は絶対行かないようにしてる。
あそこ、監視されてる感がえぐい」

@shiori_library_(しおり)
「私の代の先輩が、昔そこで勉強中に
気絶して運ばれたって聞いたことある。
『視線怖い』
『見られすぎて頭痛い』って言ってたらしいよ」

2枚目のストーリー(数時間後)
投稿者: @yui_yotsu.08(ゆい|Y高2nd)


[画像:閉架書庫の重い鉄扉。扉の隙間に黒い人影のようなものが重なっているようにも見えるが、画質が悪く判別不能]

テキスト:
「今日、閉架書庫行ったら
本当に変な感じした。
誰かに脳みそ覗かれてるみたい。
目の奥が痛くなって、
途中で出てきちゃった……もう無理」

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【分析】
 縦型ショート動画アプリで語られる「兵隊さん」は、中臣悠月の小説におけるN先輩の解釈――「勉強したくてもできなかった軍人」――と一致する。
 しかし、ここで重要なのは霊の正体ではない。「視線」と、それに伴う「頭痛」という身体的リアリティが、世代を超えて共有されている点だ。

 これは、大学院生の症状と全く同じだ。
 つまり、この障りは年齢や学年に関係ない。外堀沿いの図書館・図書室で勉強する者全てに、同じ症状が現れる。

 画像SNSにおけるアカウント@yui_yotsu.08に対する反応には、単なる霊的現象の域を超えた「共通の身体的苦痛」が含まれている。
 @shiori_library_の証言にある「見られすぎて頭痛い」という表現。
 投稿者本人の「脳を覗かれているような感覚」と「目の奥の痛み」。
 この生徒が撮影した図書館入口の画像、左隅のノイズのような影は、本当にデジタル的な不具合なのだろうか。それとも、かつてこの地を監視していた兵隊が、今もなお職務を遂行している姿なのか。

 これだけ多くの者が体験しているということは、単なる思い込みや集団ヒステリーの域を超えているのではないか。
 つまり、外堀沿いのこれらの場所には、実際に見ている者が存在する。
 あるいは、人間の脳に直接干渉し、「見られている」という強迫観念を植え付ける何らかの原因が存在する。

 さらに、「うちの高校、昔は軍の施設だったって聞いた」という証言。
 確かに、この辺りの地域は、旧大日本帝国軍関係の施設が多く存在していたはずだ。それについては、院生グループでも話題になっていた。かなり不穏な噂だった。
 どこに、何の施設があったのか。これは確認する必要があるだろう。