【流出映像】図書館の防犯カメラに、様子のおかしい学生が映っていた―市ヶ谷・外堀沿いの大学で起きていること―


ちあき「えっ、何これ……うちの大学、公式にはB3までしかないよね?」
Haru「そう。うちはB3まで。でもこのボタン、たまに出るらしいよ。これ、実際に押しちゃった他専攻の先輩がいたんだ」
いっちゃん「え、どうなったの?」
Haru「扉が開いたら、そこも図書室なんだけど、雰囲気が全然違ったって。窓も何もないのに、どこからか波の音が聞こえてきて、棚にある本の背表紙が全部『見たこともない文字』で書かれてたらしい。ヴォイニッチ手稿みたいな、幾何学模様と植物が混ざったような不気味な文字ばかりが収まった図書館」
M「ヴォイニッチ……」
Haru「ああ、こういうのだよ」


【画像:ヴォイニッチ手稿】
出典:Beinecke Rare Book & Manuscript Library(Public Domain)

M「なんか気持ち悪い」
Haru「先輩が呆然として一冊手に取ろうとしたら、奥から軍服みたいなの着た、顔の半分が火傷で爛れた変なおっさんが出てきたんだって。それで、掠れた声で『ここは、お前の来る場所じゃない』って。そのままエレベーターに押し込まれて、気づいたらB1のロビーだったってさ」
いっちゃん「それ、時空のおっさんだ! 有名なネットロアだよね。作業着じゃなくて軍服なんだ。珍しい。でも、軍服なのがかえってうちの大学っぽいね」
Haru「そうそう。で、こういう字だって書いて見せてくれたけど、存在しない字で気持ち悪かったな。あ、生成AIで画像作ると日本語の漢字やひらがなが文字化けするでしょ。あれにもちょっと似てた」



M「異世界行ったのか」
ちあき「それにしても、軍服って……。そういえば、靖国神社の隣の大学とかも、やっぱり英霊が出るらしいよね。軍服姿の人が書庫を歩き回ってるとか。この前の学会で会った他校の院生も言ってた」
山田「英霊なんて嘘だよ。軍部にとったら、あいつらはただの『失敗した廃棄品』だったんだ」
Haru「失敗? 廃棄品って何?」
山田「この辺の地下には、戸山の陸軍軍医学校から運び出された『身元不明の肉』が大量に埋まってる。戦後、米軍に見つからないように、コンクリートと一緒に外堀の泥の中に流し込まれたんだよ」
I「こわっ。でも、人骨が見つかったのって、陸軍戸山学校があったところじゃなかった? 新宿区でも大久保の辺りだよね?」
山田「陸軍軍医学校と言えば、飯田橋の近くにもある。外堀沿いの、今は、逓信病院が建っているところが、陸軍軍医学校跡地」
いっちゃん「そうなんだ。軍関係多いよね。この辺って。この辺りにやたら幽霊坂が多いのも、そこが、高台の綺麗な場所から出た何かの『穢れ』を、外堀という巨大なドブに流し落とすための下水口だったからかも? なんてことないか」
I「木々が繁っていて昼間でも薄暗かったから、っていうのが幽霊坂の語源じゃなかった? 確か、江戸時代から幽霊坂って言われてるよね」
Haru「ここか」



M「まあ、その辺の語源はちゃんと調べてみると面白いかもね。うちの大学は神社とは離れてるけど、この土地自体、学徒出陣で出征した人たちの未練が残ってるのかも」
いっちゃん「……なんかさ、話戻るけど。さっきの話聞いてて思ったんだけど、これって最近話題になってる秋津駅のパラレルワールドの話に似てない?」