【流出映像】図書館の防犯カメラに、様子のおかしい学生が映っていた―市ヶ谷・外堀沿いの大学で起きていること―

【調査記録:2026年02月03日 09:15】
場所:自宅
作業:院生グループSNSの過去ログ遡行

 睡眠時間は4時間ほどだった。
 夢の中でも、私は外堀の地図を見ていたような気がする。
 右目の奥の拍動は、起床後さらに強くなっている。

 浅い眠りの底を、泥濁した何かがゆっくりと流れていくような不快感があった。
 覚醒とともに、私は昨夜の自分に言いようのない苛立ちを覚える。中臣悠月のテキストに意識を完全に奪われ、あるまじき失態を演じていた。
 昨夜、私のスマートフォンを執拗に震わせていた夥しい通知――防犯カメラ映像に端を発した議論の全容を、私はまだ精査しきれていない。
 いや、それどころか、『図書館の“あれ”』を精読することに心を奪われ、あのSNSグループのログを確認することをすっかり忘れてしまっていた。

 論理の鎖が一点でも綻べば、そこから現実が融解し始める。
 確認しなければならない。
 私は、冷えたスマートフォンの画面を、数ヶ月前まで一気に遡る。そこから現在に向けて時系列順に、不穏な出来事を抽出し始めた。

【X大学院生グループSNS(ログ抽出・精査)】

2025年11月3日
ちあき「図書館の地下2階、マジでヤバくない? 長時間いると頭痛くなるんだけど」
Haru「わかる。眼精疲労かと思ってたけど、あそこだけなんだよね」
いっちゃん「私、去年あそこで論文書いてたら耳鳴りするようになった。病院行ったけど異常なしって言われた」

2026年1月15日
M「閉架書庫、なんか変な感じしない? 視界の端が揺れるっていうか」
いっちゃん「船酔いみたいな感じ? 私もそれある」
M「そうそう、それ。うまく説明できないけど、耳鳴りが、何かこう、圧迫感があるっていうか……」



2026年2月1日
いっちゃん「そういえば、マクレガー先生のゼミの集合写真見た? なんか変じゃない?」
Haru「どれ?」
いっちゃん「これ。頭痛いって言ってた先輩だけ、顔が変に写ってる」