どすこいラブリーちゃん

例のブログを一通り書き終えた日の深夜三時頃。
私は匿名掲示板のスレッドを更新していました。

タイトルは、こうです。

【●●県】婀娜多村の水質問題って結局なんだったの?【2019】

最初は、ほんの数件の書き込みでした。

「親戚があそこ住んでたけど、なんか水臭いって言ってた」
「知らない村なんだが」
「原因不明で亡くなった人大量にいるらしい」

どこまでが本当で、どこからが想像なのか、誰にも分からない。
それが、匿名掲示板の良さです。
事実と憶測が、同じフォントで並ぶ。
私は、スクロールしながら、口元を押さえました。笑ってしまいそうで。

「井戸に動物の死骸でも入ったんじゃね?」
「いや、集落ってだいたいヤバいこと隠してるよな」
「リアル因習村」
「排他的な村って怖いよ」

排他的。

その単語に、少しだけ指が止まる。
そう。排除は、あの村の得意分野でした。

書き込みは、少しずつ増えていきました。
私は、【婀娜多村に関するまとめブログ by.河田美和】のブログURLをスレッドへ貼ったのです。

「こんなん見つけた」
「地元出身者の告発っぽい」
「まとめブログ?」

リンク先へ飛んだ人たちが、また戻ってくる。

「これマジならやばくね?」
「この河田美和ってやつ、イカれてね?」
「ごちゃごちゃ書いてあるけど、コイツもただのいじめ加害者じゃん」
「このブログ主の奇行、やばすぎww大学に通報したほうがいいんじゃね?」

私は、画面の前で、ゆっくりと背もたれに体を預けました。火がついた。

私は、何も書き込んでいません。
ただ置いただけです。材料を。

あとは、勝手に煮えていく。