ラブリーちゃんに対する扱いは、単なる「いじめ」という言葉で片付けづらいものでした。
給食の時間。彼女の机には、いつも誰かが食べ残したものが置かれていました。
それは嫌がらせというよりも、まるで「処理」を任せているかのような様子にうつりました。
ラブリーちゃんはそれを、黙って食べていました。
分厚い眼鏡の奥の瞳には、何の感情も宿っていません。
嘔吐反射が強いのか、彼女は食事の途中で何度もえずき、そのたびに教室には「汚い」「ラブリーちゃんがまた吐いた」という嘲笑が響きました。
ラブリーちゃんの机周辺はまるでゴミ箱のように扱われていました。
文房具箱の中や給食袋の中には、破れたわら半紙、チリ紙、ケシカス、折れた鉛筆、腐った食べ物、虫の死骸、思い出したくもないようなものまで入っていました。
日直で帰りが遅くなった日、一度だけ、放課後の教室で彼女と二人きりになったことがあります。
ラブリーちゃんは自分の机を雑巾で拭いていました。ブツブツ呟きながら、執拗に、何度も、同じ場所を。
彼女に少し近づくと、
「消えろ、消えろ、消えろ、消えろ」
と言っていることが分かりました。
その声は感情を排した機械的な反復でした。彼女の太い指が雑巾を握りしめ、机の一か所を何度も擦る。
ラブリーちゃん自身の脂と、誰かがこぼした牛乳か何かが混ざり合い、異様な死臭のようなものを放っていました。
私がその横を通り過ぎようとした瞬間、ラブリーちゃんの手がピタリと止まりました。
「河田美和。お前も消えろ。」
分厚い眼鏡の奥の、焦点の合わない瞳が私を捉えた気がして、私は思わず足早に教室を去りました。
あの時、私は彼女を「可哀想な被害者」だとは思えませんでした。
ただただ、得体の知れない「不浄なもの」として、生理的な嫌悪感を抱いたのを覚えています。
給食の時間。彼女の机には、いつも誰かが食べ残したものが置かれていました。
それは嫌がらせというよりも、まるで「処理」を任せているかのような様子にうつりました。
ラブリーちゃんはそれを、黙って食べていました。
分厚い眼鏡の奥の瞳には、何の感情も宿っていません。
嘔吐反射が強いのか、彼女は食事の途中で何度もえずき、そのたびに教室には「汚い」「ラブリーちゃんがまた吐いた」という嘲笑が響きました。
ラブリーちゃんの机周辺はまるでゴミ箱のように扱われていました。
文房具箱の中や給食袋の中には、破れたわら半紙、チリ紙、ケシカス、折れた鉛筆、腐った食べ物、虫の死骸、思い出したくもないようなものまで入っていました。
日直で帰りが遅くなった日、一度だけ、放課後の教室で彼女と二人きりになったことがあります。
ラブリーちゃんは自分の机を雑巾で拭いていました。ブツブツ呟きながら、執拗に、何度も、同じ場所を。
彼女に少し近づくと、
「消えろ、消えろ、消えろ、消えろ」
と言っていることが分かりました。
その声は感情を排した機械的な反復でした。彼女の太い指が雑巾を握りしめ、机の一か所を何度も擦る。
ラブリーちゃん自身の脂と、誰かがこぼした牛乳か何かが混ざり合い、異様な死臭のようなものを放っていました。
私がその横を通り過ぎようとした瞬間、ラブリーちゃんの手がピタリと止まりました。
「河田美和。お前も消えろ。」
分厚い眼鏡の奥の、焦点の合わない瞳が私を捉えた気がして、私は思わず足早に教室を去りました。
あの時、私は彼女を「可哀想な被害者」だとは思えませんでした。
ただただ、得体の知れない「不浄なもの」として、生理的な嫌悪感を抱いたのを覚えています。
