どすこいラブリーちゃん

私は203号室のドアを見た瞬間、息をのんだ。

扉が、開いている。
全開ではないが、うっすらと。

隙間から中は見えない。
でも、なぜか声が聞こえるような気がする。

おいで、おいで、おいで、おいで。

偶然で扉が開いているわけがない。私は、招かれている。

ふと、護身用に持ってきたスプレーの存在を思い出し、右手に持った。
左手をドアノブにかける。

「……失礼します」

部屋の中は静まり返っていた。

生活の匂いはある。空気が重い。
奥の部屋の襖が、わずかに開いている。
私は震える手で襖を開いた。

そして。

天井の梁から垂れ下がるロープが、目に入った。

その先。
揺れている、身体。

時間が止まる。

鬼塚愛――ラブリーちゃんは、静かにそこにぶら下がっていた。