転生したらチートアイテムが弱すぎて詰んでしまいました

「何が起こっているんだ!」
 
 見渡す限りの敵は全て倒れている。
 何かパチッと音が聞こえたが、どこからなっていたんだ?

 「ここにいるのは俺とこの敵だけだ。ん?あの人影は?」

 「僕のことだね!」

 「うわっ!なんだ!」

 「僕の名前はトンプリー。
 剣士であり旅人だよ。
 よろしくね。えっと、、君の名前は?」

「俺の名前?俺の名前は…」

 なんだなんだなんだ!
 いきなり敵が倒れて、いきなり知らない奴が現れて、いきなり自己紹介をされて、いくらなんでもスピード感がはやすぎないか?
 まだ状況が把握できていないが、とりあえずこいつは怪しすぎる。
 初対面にしては親しみすぎている。
 いくら社交的な人だって、ここまで話を詰めてくることがあるか?
 それとも、ただ単にこんな性格なのかもしれないが。

「へぇ!君の名前はそうやって言うんだ!
 君は旅人かい?
 その見た目を見る限り、弓使いかな?」

「まあ、そんな感じです。」

 いや、この世界弓でもちゃんと伝わるんかい!
 女神のせいで弓なんて呼ばないと思ってたわ。
 まず、剣士って言っていたところから、違和感があったな。

「まあ、とにかくよろしくね。」

 とりあえず、そんな悪いやつではない気はするな。

「さっきまで周りにいた敵が一気に倒れていったけど、あれは全部君がやったのか?」

「ああ、もちろんだよ。あの程度だったら、これくらいやっておけばいいと思って、あまり力は使わなかったよ。」

 つっよ!俺なんてあの量だったら、倒されずに逃げ切るのも一苦労なのに、流石剣士だけあって強いな。
 けど剣士って言う割には強そうだけど、剣を使っているところは見たことがないな。

「ガルルルー」

「まだ二、三匹生きているぞ!やれるか?」

「ふっ。それくらい容易いさ!」

「シューーーーン!」

 なんとも目を疑う光景だった。
 なんと、剣を少しも敵に当てずか敵を2匹同時に倒してしまった。

「すごい!あんなのどうやったんだ!」

「簡単さ。剣の先で敵の方向に風ができるように剣を振るだけだよ。」

 すげーー!全然言っている意味分かんねぇー。
 なんだ剣の先が風を作るって、ネトゲでも聞いたことないわ!
 まあ、めっちゃ強いことは分かったけどな。

「とりあえず、危ないところを助けてくれてありがとうございます。」

「おいおい。急に改まってなんだ?僕たちはもう仲間じゃないか!」

「仲間って?」

「違うのか?」

 俺は戸惑ってしまった。
 今まで誰かがこんな感じに誘ってくれたことはあったが、それに応えることができず、消極的な選択ばかりをとっていた。
 もしかしたら、それのせいで何回も損をしてきていたのかもしれない。
 それなら、今こそは、変わらなければ!

「では改めて、よろしくな。」

「ああ、これから共に戦っていこう!」

「すっ。」

 と彼は手を出してきた。
 すぐに俺も握手をしようとしたが、手がすっかり悴んでしまっている。
 こんなこと、又とない大事なことだ。
 ここはしっかりと手を温めてよう。
 ポケットに手を入れて高速で動かせば、多少は摩擦であったまるか。

「ガサガサッ」
 
「さっきから何をしてるんだ?
 考えていることはわかるんだぞ。」

 なんかさっきもこんな言葉聞いたな。
 やはり剣士といっても、こんな感じに抜けているところもあるみたいだな。

「すまない。手が悴んでしまって、動かしにくいんだ。」

 俺は急いでポケットから手を出そうとしたら、勢いで中のティッシュが飛び出てしまった。

 「ぽろっ」

 「うわっ!!」
 
 突然剣士は大声を出して驚き出した。

「どうしたんだ?突然大きな声を出して?」

「その汚いものはなんだ?」

「ああ、すまない。
 これは俺のポケットの中に入りっぱなしだったティッシュだ。
 すぐに拾うよ。」

 使用済みで、鼻水がついていてビシャビシャのティッシュ。
 やはり汚く感じるのか。
 この感じも、さっきのあいつと感性が似ているな。
 もしかしたら、この世界の人たちは全員これで嫌がるのか?
 今度女神にもやってみるか。

「取り乱してしまったが、これからよろしくな。」

「ああ、よろしく」

「そういえば気になっていたことがいくつかあるんだが、剣士と言っていたのになぜ最初に敵を倒したときは、剣を一切使わなかったんだ?」

「それは言っただろ?
 あの程度だったら、大したことはしなくていいと」

「あの敵って、そんなにいろんなところにいるのか?」

「いや、そんなことは、」

 なんだ。あの敵はやっぱり他のところにはいないチュートリアル向けの雑魚キャラなのか。
 やっぱ魔王を倒すのは、あれよりも強い敵を倒せないといけないんだな。

「あと、結構あの声のやつに似てないか?」

「あの声ってなんのことだ?」

「あの声って言ったらあの声だよ。
 この建物に入った時に聞いただろ?
 言葉の言い回しとか、あと謎に潔癖症のところとか、この世界はみんなそうなのか?」

「ここまで潔癖なのは僕ぐらいでは?」

「じゃあ、もう一つ聞くけど、その声を聞いてないなら、どうやってここに入ってきたんだ?」

「どこって、あの上から入ってきたんだ。何か疑っているのか?」

「じゃあなんで、敵は倒したのにすぐに戻らなかったんだ?
 ここに降りてきたってことは、戻ることも考えてたんだろ?」


「……ふっ、仕方がない。バレてしまったみたいだ。」

「?!」

「では、改めて自己紹介をしよう。
 僕の名前はトンプリー。
 この国の剣士でもあり………この国の魔王軍幹部の幹部を務めています。」

「まっ?魔王軍幹部?!」