転生した特典が鼻かんだティッシュよりしょぼすぎる!〜ゴミ武器はゴミとしてぶん投げる〜

「そうだよ!何で私のお父さんにこんなことしてるの?」

「何でと言われても、こいつはこの村で厄介な盗人なんじょぞ!」

「私のお父さんが盗人?
 いったいどういうことなの?」

「それはじゃな…」

 
 それから村長は、俺のノートがヴオルールに盗まれたこと。
 ヴオルールは何度も盗みを起こしていたこと。
 そしてさっき捕まえて連行していることまで、全て話した。
 
「私の父は、本当に盗みをしたんですか?」

「ああ、ここにいる全員が証言できる」

「だから私の父はずっと家に帰ってこなかったのか」

「キーヌ。お前のためだったんだ」

「そんなの、私がまるで盗みをすることが賛成みたいに言って…」

「あの、ごめんね。私のお父さんが、あなたの大切なノートを盗もうとするなんて。
 あなたはもう私とは会いたくもないよね?」

「え?なんで?」

「だって、私の父親が…」

「そんなわけないだろ。
 君自体は、一切関与していないだろ?
 例え、父親だろうと、兄弟だろうと、大親友だろうと、どんなことをしても、その本人でなければ別に悪ってことはないだろ?
 どんなに親しい人が大犯罪を犯そうと、本人でなければ別に何とも思わないよ」

「じゃあ、私の父も許してくれ…」

「いや。すまないがそれだけは絶対にできない。
 確かに君は何も悪くないが、盗みをした君の父さんは、ちゃんと罰を受けなければならないんだ。
 それは誰も許すことができないし、誰かが許しても俺が許さない」

「そうか。そうだよね。当たり前のことを言っちゃったみたいだね」

 そしてヴオルールは、

「すまない。キーヌのためと言っておきながら、何にも助けにならない、ただ迷惑なことをしてしまったみたいだ」

「これからはきちんとした生活を送ってね」

「わかった。約束する」

「すまないが、これからは警備体制を厳重化するために、牢屋を地下の人が通ることができない場所に移す予定じゃ。
 だから、2人はもう話すことができなくなるかもしれんな」

「そうですか。
 それなら、今日1日は2人で過ごしていいですか?
 ご飯を一緒に食べて、いっぱい話して。
 それからいっぱい…」

「うーん。それはなかなかきつい頼みじゃが…」

 そうだ!

「なら、こうするのはどうだ?
 誰かがきちんと監視して、その上で今言ったことをやれば、逃げられる心配もないだろ?」

「確かに。それなら安心じゃな。
 なら、今日一日中はリッテリンに見張ってもらおう」

「任せてください、村長」

 我ながら名案かもしれないな。
 こうすれば2人は最後の1日を過ごせるし、警備面でも誰も文句は言えない

「それならよかったー。
 あの、今日は、姉をうまく説得してくれたり、父と最後に過ごす瞬間をしてくれて、ありがとう」

「いえいえ。大丈夫だよ。
 それより、父との大切な時間を、1秒でも大切にしてくれよ?」

 そう言うと、2人は女騎士リッテリンに連れられて牢屋の方に歩いて行った。

「じゃあわしは、食堂に行って夜食を取るが、今晩も一緒にどうじゃ?」

 気がつくともう空は暗くなっていた。

「いえ、今日はトンプリーと一緒に晩飯を食べる予定なので、今日のところはこれで」

「そうか。それは残念じゃが、約束なら仕方がないな」

 そう言って村長も食堂の方へと向かって行った。

「それでは、今から僕が最近気に入った店まで案内しよう」

 そこから2人で少し歩き、着いたのは異世界のイメージとはかけ離れた和風な店だった。

「こ、ここって?」

「それは食べてからのお楽しみだよ」

 そう言った店に入ると、中はカウンター席になっていて、その向かいには白い鉢巻を巻いた男が魚を捌いていた。
 
「驚いただろ?何とこのお店、魚その場で捌いてくれるんだ!」 

 何でこいつ、こんな自慢げに言うんだ?

「その名も寿司屋だよ!」

 いや、知ってたーーーーーーー!!!!