転生した特典が鼻かんだティッシュよりしょぼすぎる!〜ゴミ武器はゴミとしてぶん投げる〜

「なんだキーちゃんか。
 こちらこそこんばんわ」

「村長さん。こんな遅い時間に夜ご飯ですか?
 珍しいですね」

「そんならキーちゃんも、同じじゃ。
 こんな遅い時間に外を出歩いていると、
 危ないから気をつけるんじゃぞ?」

「ご心配ありがとう。
 でも、心配しなくて大丈夫。
 私、力には自信があるんで、そんな簡単におそわれたりはしないよ!」

「ハッハッハ。それなら安心じゃな」

「あ!もう出来上がったみたい。
 じゃあまた」

「おお。おやすみな」

 そうして彼女は立ち去ってしまった。
 すっ、すっごく可愛かったなー。
 なんだろう。俺は今まで元の世界でも、この世界でも、こんな気持ちにはなったことがない。
 しかもあの娘には、可愛さだけではい、なぜだか男っぽさのようなものがある。
 声だけではない何かが、すごく雄々しいものを感じる。
 
 俺はしばらくぼーっとしてしまった。

「なんじゃ?あの娘が気になっておるのか?」

「へ?えっと」

「誤魔化さんでもバレとるぞい。
 お前さんさっきからずっと見ていたからなぁ」

「それはー…」

 そんなことがバレてしまったのか。
 確かに俺が見過ぎだったかもしれないけど…

「さらにボーッとしおって…わかりやすすぎるんじゃ」

「わかりました。認めます。
 確かに、少し気になっていて…」

「それなら、少し彼女のことを教えてやろうか?
 今は離れた席にいるから、流石に声が聞こえることはなかろう」

「じゃあ、少し教えてください」

「彼女の名前はキーヌと言ってな、この町にずっと住んでいるんじゃ」

 キーヌっていうのか。
 いくら異世界とはいえ、すごい名前だな。

「だから村長さんもあの娘と知り合なんですね」

「あの娘はこの村でも人気があってな。
 最初の方は可愛いからと言って、男がよってきていたかな?
 でもみんな、その中身で驚かされたんじゃ」

「中身って?」

「性格がとても男勝りでな?
 とんでもなく力が強いんじゃ。」

「力?魔法とかじゃないのか?
 でも、力といっても、流石に女だと限度があるはずじゃ?」

「わしもそう思っていたんだが、噂にはなんとも大男2人に囲まれていて襲われそうになっても、逆に打ち勝ってしまったんだとか」

「そんな強い娘なのか?」

 まあ、確かに可愛さ以外も感じたからな。
 まさかとは思ったが、そう言うタイプだとは。

「そんなところだから、もし近づこうなんて思っていたら、慎重にするんじゃぞ?」

「そんな、近づこうだなんて」

「まあいい。2人とも食べ終わったんだし。そろそろ帰るか。
 そうだ?お前さんの部屋には風呂がないだろ?
 もし入りたかったら、温泉に行くといいぞ?
 なかなか気持ちいものじゃからな」

 この村には温泉があるのか。
 確かにそれを聞くと、一度は入ってみたいい気もするし、どちらにせよ体は洗いたいから行ってみるか。

「それはどこにあるんですか?」

「ここから歩いていくと左にお前さんの部屋が見えるんじゃが、そこを越えてからまたずっと歩いていると、左にたっているんじゃ。
 温泉、としっかり書いてあるし、多分雰囲気でわかるじゃろ
 わしは家の風呂に入るから、気にせんでいい」

「じゃあ、俺1人で行ってきます」

「では、また会おうな」

 そういって俺は村長と別れ、食堂から出た。
 余談だが、キーヌはさっき来たばっかりの丸焼きをほとんど食べていて、もう完食目前だった。
 
 そんなことも考えながら俺はさっき教えられた道を思い出しながら温泉まで歩いていた。

「えっとー温泉はこっちだったっけ?」

「あったぞ!俺でも読める字で温泉って書いてあるな。
 この国の字とかないのか?」

 もしかしたら転生した能力で読めるようになっているとかかもしれないな。

「ごめん下さーい。まだ空いてますか?」

「あら?旅人さん?まだまだ大丈夫よ。
 どうぞ入って」

「ありがとうございます」

 この人は昼間に俺の周りに集まっていた人みたいだ。
 だから代金は必要ないのか。

「ふーー。とりあえず服を脱いで、早く入るか」

 俺ははじめに、掛け湯をして、そしてすぐに温泉に入った。
 温泉自体は外にあるので、部屋から出る時は少し寒かったが、入ったらきっと体があったまるだろう。
 俺は足から少しずつ、湯船に浸かり…

「あーー。気持ちいい」

 体が全て浸かり切った頃には、思わず声を出してしまった。

「あの、そんなに気持ちいいですか?」

「そりゃーもう…え?!」

 その声は食堂で聞いたあの声だった。