転生したらチートアイテムが弱すぎて詰んでしまいました

「なんだ?さっき落ちてきたはずの矢が、また落ちてきたぞ!」

「だからなんども言ってるだろ?
 俺は矢を2本放ったと」

「卑怯だぞ!」

「魔王軍幹部が何を言うんだ。それっ!」

「ぐえーーーーーー!」

 もう完全に倒したみたいだ。

「これで、俺の勝ちでいいか?」

「くそっ、ここで負けるなんて、本当はこんなことになるはずでは…私は、魔王軍幹部のはずなのに…」

「そもそもお前、幹部じゃないだろ?」

「は?わたしは正式な魔王軍幹部として選ばれているんだぞ。」

「それにしてはいくらなんでも弱すぎないか?幹部なら、こんなところであっけなくやられたりするか?
 いくら剣が弱いとは言え、本人がある程度の強さがあったら、あそこまで酷い結果にはならないはずだぞ?」

「それは、弱い武器しか与えられなかったからだ。
 私の強さと武器の強さが釣り合っていないのだ!」

「普通幹部レベルとなると、軍からきちんとした武器が支給されるはずだぞ?
 なのにあんなにも弱い盾と剣しか持っていないなんて」

「ぐっ、それは」

「それに、魔王軍幹部ときたら、強い手下がいるはずだ。
 あんな一撃でやられるようや手下はつれていないだろ?」

「だが、私は…」

「悪あがきはよせ。
 もうお前は負けたんだ。規則には則ったからな。
 約束通り、この場所からは出させてもらおう」

「なら、ならそこに書かれてあることを見させてはくれないか?
 べつに、奪うつもりはない。
だが、見ても困らないだろ?」

「お前、負けておいてそれか?
 最初から戦わず、そうやっておけば中身を読むことができたのに、戦いを挑んだのは俺かもしれないが、戦うことを決めたのはお前でもあるんだぞ?」

「頼む。どうしても中身が、、」

「じゃあ、お前の真実を全て話してくれるなら、許してやろう。お前は結局なんだ?」

「仕方ない。話すか。
 実は私は、魔王軍幹部ではなく、曹の位なのだ。」

 曹というのは、一番下ではないが、幹部よりは低い位である。

「だが、私は幹部に憧れを抱いていた。私でも幹部になれるのではないかと。
 しかし、現実は甘くなかった。
 幹部の人たちは、皆戦闘技術に優れており、わたしはどの幹部にも、右腕どころか右足にも及ばない。
 それどころか、同じ曹同士でもあまり強いとは言えなかった。
 わたしは自分が弱いとどうしても認めたくはなかった。
 だからわざと武器や手下どもを軍から弱くしてもらい、自分はそれだからしょうがないと思っていた」

 典型的なクズだ。
 しょうがない。こういう時は、適当にぽいことを言えば、どうにかなるもんだ。

「俺も過去では自分の環境が整っていないせいで、自分がうまくいかないんだと嘆いてる人はたくさん見てきた。
 俺はしょうがないことだと思っていた。
 だが、まだ俺が子供の時、ある人に出会ってからはその考えが全て変わった。
 その人は、恵まれない家庭環境や人間関係から、とても環境がいいとは言えなかった。
 だが、見えるところでも、おそらく見えないところでも努力をしていたのか、武力においても学力においても、社交性においても、彼女以上に秀でるものはいなかった。
 具体的に言うと、あまり伝わらないかもしれないが、とにかく、誰よりも優れていたのは確かだ。
 そして彼女は、『私は最高の環境で育った。私は誰よりも幸せものさ』と言い、俺に別れを告げた。
 俺はそれから、自分の能力については、多少環境が左右するかもしれないが、結局は自分の努力次第でなんとかなると思った。
 だからお前も、余計なことはしずに、努力だけを続けろ。
 わざと環境を悪くしたって、それで自分の能力が上がるわけではないのだから」

「わかった。わたしは、これからは2度と環境や装備などを理由に嘆かない。
 実力で覆す。」

「それでいいんだ。」

 まあ、この話は全部嘘なんだけどな。
 そもそも俺、小中高男子校だしな。

「では、ここから出る方法を教えてくれないか?」

「そこの扉から普通に出れるぞ?
 天井はただのダミーだ」

「え?!普通に扉から出てるって本当か?」

「疑うならやってみろ。」

 俺は扉の前に立ち、全体中で扉を押し込んだ。 すると、、

「ギガガーギー」

 外から光が差し込んできた。
 ようやくこの世界の日の光を見ることができたのだ。

「それでは、わたしはこれで、」

「いや待て、その内容を見せてくれるんじゃなかったのか?」

「ああ、そうだった。お前いい加減しつこいなぁ。たかがメモ書きだぞ?」

「それの本当の凄さがわかっていないみたいだな。」

「お前が勝手に驚いているだけだろ?」

「そんなわけあるか!それは誰が見ても驚くんだぞ!」

「本当か?」

「信じてないようだな。それなら確かめに行くのが一番早い。
 いまから、村に行くぞ!」

「村?!」