2026-03-04
『今頃、好きになる』
振った人のことを後になって
次第に好きになることがある。
告白をされるまでは何とも思ってなくて
仲の良い友達だと思っていたのだけれど。
「ごめんね、友達だと思っていた」
そう言って振ってからというもの。
その人のことが魅力的に見えてきて
好きなんだとハッとする瞬間がある。
あれは中学生の頃だった。
まだ、大した恋愛を経験したことがなく
告白をされたことも数少なかったけれど。
「好きです、付き合ってください」
学校の屋上で、言葉を告げられた。
同じ部活仲間として切磋琢磨していて
応援をし合う関係だと思っていた僕は
「ごめんね、友達だと思っていた」と
その人を傷付けてしまう言葉を投げる。
「そうだね、友達だよね、私たち」
「これからも仲良くしてね、私と」
そう言い放ってその人は振り返り
輝かしいものを溢れさせて離れた。
目から、涙が出ていた。
僕は何もできていない。
そのときに見た涙があまりにも美しくて
この人のことを泣かせたくないと思った。
次の日も、またその次の日も
放課後になれば部活で会うが
もう、吹っ切れた様子だった。
告白をしてくれたことを掘り返すのは
きっと嫌なことだろうしこれまで通り
変わらない関係で居続けていたのだが。
僕が、好きになっていた。
告白をされてから半年後。
校庭に咲いている木は桜色をしていて
なんだか可愛らしくて、緊張が解ける。
屋上で待ち合わせをした。
あのときと全く同じよう。
「ごめんね、色々と忙しいだろうけど」
「好きです、僕と付き合ってください」
頭を下げて、手を前に差し出す。
掴んでくれ、と心で願うけれど。
その手が掴まれることはなかった。
「頭を上げて、少しだけ話そう」
そう言われて、僕は頭を上げる。
日陰になっているところに座り込み
これまでのことを色々と話していく。
「そういえばさ、私もここで告白したよね」
「あのとき振られて、相当悲しんだんだよ」
今はもう笑っているけれど
本当に悲しんでいたんだと
目の奥を見れば感じられた。
「あのときは僕が幼かった」
「だから付き合ってほしい」
結果を知りたかった。
付き合えるか否かを。
校庭に咲いている桜を眺めながら
その人はただ「ごめん」と呟いた。
そして続けるように「遅いよバカ」と
僕の目を見て言ってくるもんだから。
「あはは」と笑うことしかできなかった。
半年前は確かに好かれていて、今はもう。
桜が咲き始める季節。
僕らは、卒業をした。
--
『今頃、好きになる』
振った人のことを後になって
次第に好きになることがある。
告白をされるまでは何とも思ってなくて
仲の良い友達だと思っていたのだけれど。
「ごめんね、友達だと思っていた」
そう言って振ってからというもの。
その人のことが魅力的に見えてきて
好きなんだとハッとする瞬間がある。
あれは中学生の頃だった。
まだ、大した恋愛を経験したことがなく
告白をされたことも数少なかったけれど。
「好きです、付き合ってください」
学校の屋上で、言葉を告げられた。
同じ部活仲間として切磋琢磨していて
応援をし合う関係だと思っていた僕は
「ごめんね、友達だと思っていた」と
その人を傷付けてしまう言葉を投げる。
「そうだね、友達だよね、私たち」
「これからも仲良くしてね、私と」
そう言い放ってその人は振り返り
輝かしいものを溢れさせて離れた。
目から、涙が出ていた。
僕は何もできていない。
そのときに見た涙があまりにも美しくて
この人のことを泣かせたくないと思った。
次の日も、またその次の日も
放課後になれば部活で会うが
もう、吹っ切れた様子だった。
告白をしてくれたことを掘り返すのは
きっと嫌なことだろうしこれまで通り
変わらない関係で居続けていたのだが。
僕が、好きになっていた。
告白をされてから半年後。
校庭に咲いている木は桜色をしていて
なんだか可愛らしくて、緊張が解ける。
屋上で待ち合わせをした。
あのときと全く同じよう。
「ごめんね、色々と忙しいだろうけど」
「好きです、僕と付き合ってください」
頭を下げて、手を前に差し出す。
掴んでくれ、と心で願うけれど。
その手が掴まれることはなかった。
「頭を上げて、少しだけ話そう」
そう言われて、僕は頭を上げる。
日陰になっているところに座り込み
これまでのことを色々と話していく。
「そういえばさ、私もここで告白したよね」
「あのとき振られて、相当悲しんだんだよ」
今はもう笑っているけれど
本当に悲しんでいたんだと
目の奥を見れば感じられた。
「あのときは僕が幼かった」
「だから付き合ってほしい」
結果を知りたかった。
付き合えるか否かを。
校庭に咲いている桜を眺めながら
その人はただ「ごめん」と呟いた。
そして続けるように「遅いよバカ」と
僕の目を見て言ってくるもんだから。
「あはは」と笑うことしかできなかった。
半年前は確かに好かれていて、今はもう。
桜が咲き始める季節。
僕らは、卒業をした。
--



