言の葉の翠

2026-04-14
『久しく会ってなかった』

「死にましたか」という連絡に気付いた。

3日ほどネットから離れていた身として
やはり他人なんだと思わせられてしまう。

「生憎、生きてますよ」と返信をして
ストーリーを更新してスマホを置いた。

ついさっき、彼女とお別れをした。

遠距離恋愛中の僕らは月に数回しか会えなくて
久しぶりに会い、そしてまた別々の生活に戻る。

バイバイしたくなかったけど
バイバイしないといけなくて
バイバイして新幹線に乗った。

「来てくれてありがとう」
「次は私が会いに行くね」

そんな連絡が彼女から届いていて
「頑張りすぎない」と返信をした。

その流れでSNSを久しぶりに開くと
「死にましたか」と連絡が届いていて。

死ぬわけあるかい、と思いながら
親指で文字を打って送信してから
スマホを置いてお茶を一口飲んだ。

「会えるなら頑張っちゃうよ、私」
彼女から可愛げのある返信が届く。

「なら、僕も頑張っちゃおうかな」
間髪を入れず、すぐに返信をした。

「よかったです、死なれては嫌です」
「更新がなくて寂しかったです、私」

SNSで話していた人からも返信が来て
ハートのリアクションだけで終わらせた。

これからまだ、数時間は新幹線の中で
揺られながら座ってなければならない。

時刻は21時35分、お気に入りの曲を流して
僕は落ちるように夢の中へと飛び込んでいった。

彼女の部屋で過ごしている夢だった。
笑いが絶えない空間で居心地が良く。

床に寝転んで胸いっぱいに空気を吸った僕は
ベッドの下に何かが落ちているのに気付いて
それを掴もうと必死に腕をグイグイと伸ばす。

「何してるの~」と彼女は言ってくるけれど
どうしてもその何かを掴みたくて仕方がない。

掴んだ。

それと同時に足をビクッとさせて目が覚めた。
時刻は22時50分を過ぎていて、まだ眠い。

「早く会いたい、さっき別れたのに」
数十分前に彼女から連絡が来ていた。

「今ね、夢で会ってきたとこ」と
僕はついさっきのことを返信して
SNSを開いて届いた連絡を見る。

「いつか会いたいです、あなたに」
追うようにして、連絡が来ていた。

「夢でなら、いつだって会えるというのに、ね」
その人にも返信をして、お茶を一口飲んでから。

ふぅ、と深呼吸をしてまた眠る。

さっきと同じ彼女の部屋から夢が始まった。
僕のことを愛おしそうに見つめている彼女。

駅でバイバイしたときの表情と同じだ。

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