2026-04-15
『透明人間、私』
透明人間になってしまう夢を見た。
私も生きていて、周りの人々も生きていて
でも、私だけが誰とも話すことができない。
彼氏と久しぶりに会う予定だった。
待ち合わせた駅に向かうのだけど。
「私を見ることができるのか」という不安が
胸の中で膨らんでいくだけで、足が少し重い。
駅に着いた。
改札口をちらちらと眺めながらスマホを見て
辺りを見渡している彼氏だけが輝いて見える。
「待った?」と彼氏に話しかけた。
どうやら私のことが見えていないらしく
スマホで私に「今どこ?」と送っている。
あ、そういえばスマホを持っていない。
夢って不思議で、普段あるものがない。
気付いてほしくて彼の洋服に付いた埃を
掴むようにして取ろうと思ったのだけど。
掴むことすらできなかった。
目の前に大好きな彼がいて、触れられる距離で
あわよくば抱きつける距離でもあるというのに。
触れられないし、抱きつけない。
ゴトン、と物が落ちる音で目が覚めた。
彼が鍋の蓋を落としてしまったらしい。
「大丈夫?」とキッチンのほうに声をかけると
「あ、起こしちゃった?」と彼がこちらに来る。
新社会人、スーツを纏った彼は格好良くて
「ううん、起きたくて起きたの」と返した。
続けるように「透明人間になる夢を見た」と
彼に言うと「俺のお風呂覗いた?」と冗談を
私に対して言ってくるもんだから腹が立って。
「違う、そんなに可笑しな話じゃないの」と
不機嫌気味に彼に対して言葉を放ってしまう。
8時45分、彼は出社をしなければならない。
「また後でね」と、ベッドで寝ている私に言って
顔を近付けて1度だけキスをして行ってしまった。
玄関まで一緒に行って、手を振って見送った。
鍵を閉めて、またベッドに戻ってすぐに寝る。
駅で彼と待ち合わせをする続きだった。
でも、さっきの夢とは少し違っていて
周りの人は私が見えているというのに
彼だけ私のことを見えていないみたい。
「すみません、彼に私のことを伝えてください」と
行き交う人に言おうと、おかしな人と思われるだけ。
目の前では彼が、スマホで、私に、連絡をしている。
「もう遅いよ、帰るね」と文字を打つのを横で見る。
手首を掴もうとした、掴もうとしたのだけど
彼にとって私は透明人間のままだから掴めず。
一緒に彼の家へ帰った。
キスをしたあの部屋へ。
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『透明人間、私』
透明人間になってしまう夢を見た。
私も生きていて、周りの人々も生きていて
でも、私だけが誰とも話すことができない。
彼氏と久しぶりに会う予定だった。
待ち合わせた駅に向かうのだけど。
「私を見ることができるのか」という不安が
胸の中で膨らんでいくだけで、足が少し重い。
駅に着いた。
改札口をちらちらと眺めながらスマホを見て
辺りを見渡している彼氏だけが輝いて見える。
「待った?」と彼氏に話しかけた。
どうやら私のことが見えていないらしく
スマホで私に「今どこ?」と送っている。
あ、そういえばスマホを持っていない。
夢って不思議で、普段あるものがない。
気付いてほしくて彼の洋服に付いた埃を
掴むようにして取ろうと思ったのだけど。
掴むことすらできなかった。
目の前に大好きな彼がいて、触れられる距離で
あわよくば抱きつける距離でもあるというのに。
触れられないし、抱きつけない。
ゴトン、と物が落ちる音で目が覚めた。
彼が鍋の蓋を落としてしまったらしい。
「大丈夫?」とキッチンのほうに声をかけると
「あ、起こしちゃった?」と彼がこちらに来る。
新社会人、スーツを纏った彼は格好良くて
「ううん、起きたくて起きたの」と返した。
続けるように「透明人間になる夢を見た」と
彼に言うと「俺のお風呂覗いた?」と冗談を
私に対して言ってくるもんだから腹が立って。
「違う、そんなに可笑しな話じゃないの」と
不機嫌気味に彼に対して言葉を放ってしまう。
8時45分、彼は出社をしなければならない。
「また後でね」と、ベッドで寝ている私に言って
顔を近付けて1度だけキスをして行ってしまった。
玄関まで一緒に行って、手を振って見送った。
鍵を閉めて、またベッドに戻ってすぐに寝る。
駅で彼と待ち合わせをする続きだった。
でも、さっきの夢とは少し違っていて
周りの人は私が見えているというのに
彼だけ私のことを見えていないみたい。
「すみません、彼に私のことを伝えてください」と
行き交う人に言おうと、おかしな人と思われるだけ。
目の前では彼が、スマホで、私に、連絡をしている。
「もう遅いよ、帰るね」と文字を打つのを横で見る。
手首を掴もうとした、掴もうとしたのだけど
彼にとって私は透明人間のままだから掴めず。
一緒に彼の家へ帰った。
キスをしたあの部屋へ。
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