2026-03-07
『会いに来る』
どうして一瞬にして僕を見つけ
笑顔で駆け寄ってくるのだろう。
空港での出来事だった。
遠距離恋愛をしている彼女が
久しぶりに僕の住む県へ来る。
到着は16時過ぎを予定していて
僕は空港に彼女を迎えに来ていた。
まだ機内モードで連絡ができない彼女に
「出口を出て右の椅子にいるね」と送る。
それから行き交う人のことを眺めながら
それぞれに違う人生があると考えていた。
それなりに時間が経った頃
ピコン、と通知音が鳴った。
「無事、到着しました~」
「そっちに向かいます~」
今、同じ空港の中に彼女がいる
ただそれだけで胸が苦しくなる。
中々会えないからこそ会ったときの
同じ空間にいる幸せは贅沢に近しい。
「わかった、待ってる」とだけ送り
僕はスマホを置いて出口を見つめる。
1つの飛行機には沢山の人が乗っているわけで
彼女か、彼女ではないか、のワクワクが楽しい。
出口から出てきた女性は或る男性を見つけて
恥ずかし気に手を振りながら近寄って行った。
出口から出てきた男性は或る女性を見つけて
伏し目がちに微笑んでから近寄り抱きついた。
色んな人生が目の前で繰り広げられていて
それぞれの道が正解なんだろうなと思った。
そんなことを考えていたときに
パッと辺りが暗くなる気がして
出口から出てくる彼女を見つけ。
まるで空港で、2人きりみたい。
僕と彼女の間には無数の人が行き交っている。
それでも、空港には2人しかいない気がした。
辺りをキョロキョロとする様子もなく
彼女はすぐに僕のことを見つけてから
微笑みつつもコツコツと近寄ってくる。
「お待たせしました~」と彼女は言って
「遅いよ」と僕は冗談を彼女にぶつけた。
半月ぶりの再会だというのに
昨日会ったみたいな雰囲気で
居心地が良くて、好きが増す。
「とりあえず、ご飯でも食べようか」と言い
彼女が来たときは必ず行くお店へと向かった。
エスカレーターで前に乗った彼女が
振り返って僕のほうを見てくるから。
「どうした」と訊ねてみると
「会えてよかった」と言われ。
「僕も、同じこと思ってた」と言い
壁に貼られた鏡が僕らを映していて。
「見て」と彼女に指さして伝え
「付き合ってるみたい」と言う。
「馬鹿、付き合ってるのよ」と彼女は
僕の頭を軽くポンと叩いて、また笑う。
叩かれた手を掴んで
そのまま手を繋いだ。
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『会いに来る』
どうして一瞬にして僕を見つけ
笑顔で駆け寄ってくるのだろう。
空港での出来事だった。
遠距離恋愛をしている彼女が
久しぶりに僕の住む県へ来る。
到着は16時過ぎを予定していて
僕は空港に彼女を迎えに来ていた。
まだ機内モードで連絡ができない彼女に
「出口を出て右の椅子にいるね」と送る。
それから行き交う人のことを眺めながら
それぞれに違う人生があると考えていた。
それなりに時間が経った頃
ピコン、と通知音が鳴った。
「無事、到着しました~」
「そっちに向かいます~」
今、同じ空港の中に彼女がいる
ただそれだけで胸が苦しくなる。
中々会えないからこそ会ったときの
同じ空間にいる幸せは贅沢に近しい。
「わかった、待ってる」とだけ送り
僕はスマホを置いて出口を見つめる。
1つの飛行機には沢山の人が乗っているわけで
彼女か、彼女ではないか、のワクワクが楽しい。
出口から出てきた女性は或る男性を見つけて
恥ずかし気に手を振りながら近寄って行った。
出口から出てきた男性は或る女性を見つけて
伏し目がちに微笑んでから近寄り抱きついた。
色んな人生が目の前で繰り広げられていて
それぞれの道が正解なんだろうなと思った。
そんなことを考えていたときに
パッと辺りが暗くなる気がして
出口から出てくる彼女を見つけ。
まるで空港で、2人きりみたい。
僕と彼女の間には無数の人が行き交っている。
それでも、空港には2人しかいない気がした。
辺りをキョロキョロとする様子もなく
彼女はすぐに僕のことを見つけてから
微笑みつつもコツコツと近寄ってくる。
「お待たせしました~」と彼女は言って
「遅いよ」と僕は冗談を彼女にぶつけた。
半月ぶりの再会だというのに
昨日会ったみたいな雰囲気で
居心地が良くて、好きが増す。
「とりあえず、ご飯でも食べようか」と言い
彼女が来たときは必ず行くお店へと向かった。
エスカレーターで前に乗った彼女が
振り返って僕のほうを見てくるから。
「どうした」と訊ねてみると
「会えてよかった」と言われ。
「僕も、同じこと思ってた」と言い
壁に貼られた鏡が僕らを映していて。
「見て」と彼女に指さして伝え
「付き合ってるみたい」と言う。
「馬鹿、付き合ってるのよ」と彼女は
僕の頭を軽くポンと叩いて、また笑う。
叩かれた手を掴んで
そのまま手を繋いだ。
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