2026-03-11
『約束をするということ』
例えば、「来週遊ぼう」と彼女と約束をし
何気ない日常がそれまで続くのだけれども。
その間には「約束がある」という日常があって
きっと朝、起きるたびに少しばかり嬉しくなる。
例えば、「楽しかったね」と彼女と言い合い
先週の出来事を何気なく振り返るのだけれど。
その間には「先週の出来事」を思い返して
何度もクスクスと笑っていた日常があって
ようやく彼女と話せて、少しばかり嬉しい。
彼女の過去と未来には僕が存在していて
僕の過去と未来にも彼女が存在している。
こうして僕らだけの思い出が形成されていって
例えば、2人にしか分からないものを見たとき
「あっ」と気付いて、目が合い、笑ってしまう。
今思えば、過去に幸せだけではなく
不幸せなことも幾つか存在していた。
彼女に言おうと思ったけれど
言いかけてやめた言葉たちも
未だ、ぷかぷかと浮いていて。
彼女は「彼氏が何か言いかけた」という記憶だけ
頭の中に残って、きっといつかそれで悲しむから。
言いかけた言葉を飲み込んだ僕は
少し、口角を上げてニヤッと笑う。
「なに」と彼女は気になって訊いてくるけれど
「ううん、可愛いなと思って」と彼女を褒めた。
不幸せなことはなるだけ、減らしていきたい。
過去になってしまえば、幸せが増えていくし。
つい先日、前々から遊ぶ約束をしていた彼女と
春服を買うためにショッピングモールへ行った。
どれでも似合ってしまう彼女は
ふざけて変な眼鏡をかけたけど
それさえも似合っていて悔しい。
「似合ってるね、可愛い」と言いかけたけれど
あまりの可愛さに口角が上がってしまうばかり。
「これ、かけてみなよ」と渡された眼鏡は
どう考えても似合うわけがないというのに。
僕がその眼鏡をかけた瞬間というより
かける少し手前でもう「格好良い」と
彼女は僕のことを褒め称えてくるから。
「っておい、まだ早いわ」と言うと
「あはは、面白い」と彼女は笑った。
同じくらいの温度を抱いていて
似た雰囲気を纏っている僕らは
このとき、幸せについて気付き。
目を合わせただけだというのに
何を言いたげかお互いが理解し
眼鏡を外しながらクスッと笑う。
「まだ遊んでいる途中なんだけど」
「来週もどこか一緒に行かない?」
彼女が言ってきた。
「おっ」と僕は驚いた表情を見せてから
「同じこと思った」と彼女に言ってみる。
「ほんと?!」と嬉しそうにしていて
その表情が付き合った頃と全く同じで
「君は可愛い」と言いかけずに言った。
彼女の口角が、少し上がった。
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『約束をするということ』
例えば、「来週遊ぼう」と彼女と約束をし
何気ない日常がそれまで続くのだけれども。
その間には「約束がある」という日常があって
きっと朝、起きるたびに少しばかり嬉しくなる。
例えば、「楽しかったね」と彼女と言い合い
先週の出来事を何気なく振り返るのだけれど。
その間には「先週の出来事」を思い返して
何度もクスクスと笑っていた日常があって
ようやく彼女と話せて、少しばかり嬉しい。
彼女の過去と未来には僕が存在していて
僕の過去と未来にも彼女が存在している。
こうして僕らだけの思い出が形成されていって
例えば、2人にしか分からないものを見たとき
「あっ」と気付いて、目が合い、笑ってしまう。
今思えば、過去に幸せだけではなく
不幸せなことも幾つか存在していた。
彼女に言おうと思ったけれど
言いかけてやめた言葉たちも
未だ、ぷかぷかと浮いていて。
彼女は「彼氏が何か言いかけた」という記憶だけ
頭の中に残って、きっといつかそれで悲しむから。
言いかけた言葉を飲み込んだ僕は
少し、口角を上げてニヤッと笑う。
「なに」と彼女は気になって訊いてくるけれど
「ううん、可愛いなと思って」と彼女を褒めた。
不幸せなことはなるだけ、減らしていきたい。
過去になってしまえば、幸せが増えていくし。
つい先日、前々から遊ぶ約束をしていた彼女と
春服を買うためにショッピングモールへ行った。
どれでも似合ってしまう彼女は
ふざけて変な眼鏡をかけたけど
それさえも似合っていて悔しい。
「似合ってるね、可愛い」と言いかけたけれど
あまりの可愛さに口角が上がってしまうばかり。
「これ、かけてみなよ」と渡された眼鏡は
どう考えても似合うわけがないというのに。
僕がその眼鏡をかけた瞬間というより
かける少し手前でもう「格好良い」と
彼女は僕のことを褒め称えてくるから。
「っておい、まだ早いわ」と言うと
「あはは、面白い」と彼女は笑った。
同じくらいの温度を抱いていて
似た雰囲気を纏っている僕らは
このとき、幸せについて気付き。
目を合わせただけだというのに
何を言いたげかお互いが理解し
眼鏡を外しながらクスッと笑う。
「まだ遊んでいる途中なんだけど」
「来週もどこか一緒に行かない?」
彼女が言ってきた。
「おっ」と僕は驚いた表情を見せてから
「同じこと思った」と彼女に言ってみる。
「ほんと?!」と嬉しそうにしていて
その表情が付き合った頃と全く同じで
「君は可愛い」と言いかけずに言った。
彼女の口角が、少し上がった。
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