2026-04-24
『あなたからの呪い』
あなたはさりげなく言ったけど
その言葉に一生を奪われた人生。
呪いのように私に纏わりついていて
きっと私から離れていくことはない。
「愛してるよ」
言葉にしてしまえば愛なんて感じないのに
あなたの口から出てくるそれに愛を感じて
まだ、あなたのことを信じて待っている私。
付き合ってなかった。
終電を逃したあなたは時たまに連絡をくれ
私の住んでいるワンルームへとやってくる。
「ごめんね、いつも」と猫みたいな顔をして
玄関から入ってくるあなたのことが愛おしい。
片手にはコンビニで買ったお酒があって
「泊めてくれるお礼に」といつもくれる。
冷蔵庫の中には飲み切らなかったお酒が幾つか
炭酸が抜けたままで放置されているというのに。
「ありがとう」と受け取って、そこで手が触れて
あなたにキスをされて、されるがままに朝を迎え。
ドライヤーの音で目が覚めた。
シャワーを浴びて濡れた髪の毛を
スマホを弄りながら乾かしている。
「おはよ」と話しかけても聞こえていないのか
ドライヤーの音だけが部屋中に響いていて煩い。
思えば、初めて泊まりに来たときは
ドライヤーの位置さえ知らなかった。
勝手にシャワーを浴びて、ドライヤーを使って
自分の部屋みたいに過ごしているあなたを見て
まるで付き合っているかのような感覚になるが。
付き合ってない。
髪を乾かし終わったあなたはドライヤーを置いて
スマホを弄っている手を止めて、私のほうを見る。
目が合った。
「おはよう」と言うと「おはよう」と返ってきて
付き合っていないことが嘘なんじゃないかと思う。
洋服を着て、鞄を持って、玄関へ向かうあなたを
追うようにして私も玄関のほうへと一緒に進んで。
振り返ったあなたにキスをして
「いってらっしゃい」と言って
いつも見送るまでが流れだけど。
その日は「愛してるよ」と言われた。
いつも言われないからドキッとして
「両思いだね」としか返せなかった。
ドアから出ていくあなたを何度見ただろう。
妻が旦那を見送る日常みたいで嬉しかった。
けれど、それから連絡が来ることはなく。
「愛してるよ」とあなたに言われたことだけが
未だ頭の中をずっとループして流れ続けている。
呪いのようにして纏わりついているそれが
私から離れていくことはないのだとしても
それがあなたの残した呪いだとするのなら。
また会える気がして、期待してしまう。
そんな或る日、風の噂で亡くなったと聞いた。
誰もいない浴室からシャワーの音が聞こえる。
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『あなたからの呪い』
あなたはさりげなく言ったけど
その言葉に一生を奪われた人生。
呪いのように私に纏わりついていて
きっと私から離れていくことはない。
「愛してるよ」
言葉にしてしまえば愛なんて感じないのに
あなたの口から出てくるそれに愛を感じて
まだ、あなたのことを信じて待っている私。
付き合ってなかった。
終電を逃したあなたは時たまに連絡をくれ
私の住んでいるワンルームへとやってくる。
「ごめんね、いつも」と猫みたいな顔をして
玄関から入ってくるあなたのことが愛おしい。
片手にはコンビニで買ったお酒があって
「泊めてくれるお礼に」といつもくれる。
冷蔵庫の中には飲み切らなかったお酒が幾つか
炭酸が抜けたままで放置されているというのに。
「ありがとう」と受け取って、そこで手が触れて
あなたにキスをされて、されるがままに朝を迎え。
ドライヤーの音で目が覚めた。
シャワーを浴びて濡れた髪の毛を
スマホを弄りながら乾かしている。
「おはよ」と話しかけても聞こえていないのか
ドライヤーの音だけが部屋中に響いていて煩い。
思えば、初めて泊まりに来たときは
ドライヤーの位置さえ知らなかった。
勝手にシャワーを浴びて、ドライヤーを使って
自分の部屋みたいに過ごしているあなたを見て
まるで付き合っているかのような感覚になるが。
付き合ってない。
髪を乾かし終わったあなたはドライヤーを置いて
スマホを弄っている手を止めて、私のほうを見る。
目が合った。
「おはよう」と言うと「おはよう」と返ってきて
付き合っていないことが嘘なんじゃないかと思う。
洋服を着て、鞄を持って、玄関へ向かうあなたを
追うようにして私も玄関のほうへと一緒に進んで。
振り返ったあなたにキスをして
「いってらっしゃい」と言って
いつも見送るまでが流れだけど。
その日は「愛してるよ」と言われた。
いつも言われないからドキッとして
「両思いだね」としか返せなかった。
ドアから出ていくあなたを何度見ただろう。
妻が旦那を見送る日常みたいで嬉しかった。
けれど、それから連絡が来ることはなく。
「愛してるよ」とあなたに言われたことだけが
未だ頭の中をずっとループして流れ続けている。
呪いのようにして纏わりついているそれが
私から離れていくことはないのだとしても
それがあなたの残した呪いだとするのなら。
また会える気がして、期待してしまう。
そんな或る日、風の噂で亡くなったと聞いた。
誰もいない浴室からシャワーの音が聞こえる。
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