2026-02-22
『好きだっちゃ』
「好きになる瞬間を言語化するとしてさ」
「お前ならどの言葉を選んで表現する?」
友達に訊かれた。
3日後に会う予定があるというのに
電話で話したいと思ってくれる友達。
「そうだな、好きになる瞬間か」
復唱をしながら、深く考え込む。
「俺はな、言語化は無理だと思うんだよ」
「気付くと好きになっていることが多い」
確かに、好きになる瞬間というより
気付いたら好きで、心惹かれている。
「お前は学生の頃からずっと片思いして」
「色々な恋を経験してきたから余計にな」
友達に共感をして。
「好きになる瞬間って自覚することはできなくて」
「グラデーションのように日に日に増す気がする」
僕はそんなことを友達に伝えて
床に置いていたスタバの袋から
ホワイトモカを慎重に取り出し。
机に置いて蓋を開けて
ズズッと一口だけ啜る。
「お前、いいこと言うな」
「その言葉、気に入った」
褒められているのだろうけれども
冗談も少し含まれている気がして
口に含んだそれを吹き出しかける。
ゴクッと音が鳴るほどの喉越しで
飲み進めていくそれを口から離し
「なんだ、それ」と笑って言うと。
「ん、上司の真似してみた」
「よくこんなこと言うんよ」
知らない人の真似をされたところで
僕はそれを似ていると思わないけど
友達の声音から似ていそうと思った。
「ところで、なんで好きになる話をさ」
「僕なんかに訊いてみようと思ったの」
会うときにでも話せる話題だというのに
会えないときに話した理由を知りたくて。
「別に理由なんてなかったけど」
「確かに、なんでお前なんやろ」
無自覚な内に僕を優先したようで
嬉しくて口角が少しずつ上がった。
「僕と話したかったんちゃいますのん」
冗談めいてそんなことを言ったけれど。
「うん、話したかった」
ただ一言だけを言われ。
キュンとしかけた、あぶね。
「3日後、博多駅に集合でいい?」
「時間はあえて決めないでおこう」
こいつとなら、会える気がする。
「お前らしくていいな」と友達。
気付けば、友達のことを好きになったのは
いつ頃だったのかさえ覚えていないけれど。
今、好きに変わりないわけだし
グラデーションみたく日に日に
増していった好きが懐かしくて。
カレンダーに記されている
「友達に会う」という文字。
手に持っていたホワイトモカは
もう、1滴すらも残っていない。
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『好きだっちゃ』
「好きになる瞬間を言語化するとしてさ」
「お前ならどの言葉を選んで表現する?」
友達に訊かれた。
3日後に会う予定があるというのに
電話で話したいと思ってくれる友達。
「そうだな、好きになる瞬間か」
復唱をしながら、深く考え込む。
「俺はな、言語化は無理だと思うんだよ」
「気付くと好きになっていることが多い」
確かに、好きになる瞬間というより
気付いたら好きで、心惹かれている。
「お前は学生の頃からずっと片思いして」
「色々な恋を経験してきたから余計にな」
友達に共感をして。
「好きになる瞬間って自覚することはできなくて」
「グラデーションのように日に日に増す気がする」
僕はそんなことを友達に伝えて
床に置いていたスタバの袋から
ホワイトモカを慎重に取り出し。
机に置いて蓋を開けて
ズズッと一口だけ啜る。
「お前、いいこと言うな」
「その言葉、気に入った」
褒められているのだろうけれども
冗談も少し含まれている気がして
口に含んだそれを吹き出しかける。
ゴクッと音が鳴るほどの喉越しで
飲み進めていくそれを口から離し
「なんだ、それ」と笑って言うと。
「ん、上司の真似してみた」
「よくこんなこと言うんよ」
知らない人の真似をされたところで
僕はそれを似ていると思わないけど
友達の声音から似ていそうと思った。
「ところで、なんで好きになる話をさ」
「僕なんかに訊いてみようと思ったの」
会うときにでも話せる話題だというのに
会えないときに話した理由を知りたくて。
「別に理由なんてなかったけど」
「確かに、なんでお前なんやろ」
無自覚な内に僕を優先したようで
嬉しくて口角が少しずつ上がった。
「僕と話したかったんちゃいますのん」
冗談めいてそんなことを言ったけれど。
「うん、話したかった」
ただ一言だけを言われ。
キュンとしかけた、あぶね。
「3日後、博多駅に集合でいい?」
「時間はあえて決めないでおこう」
こいつとなら、会える気がする。
「お前らしくていいな」と友達。
気付けば、友達のことを好きになったのは
いつ頃だったのかさえ覚えていないけれど。
今、好きに変わりないわけだし
グラデーションみたく日に日に
増していった好きが懐かしくて。
カレンダーに記されている
「友達に会う」という文字。
手に持っていたホワイトモカは
もう、1滴すらも残っていない。
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