消失者たち

【三島隆の捜査メモ】
日付: 2023年11月25日 午前3時

眠れない。
デジタルフォレンジック班と科捜研の報告を読み返す。

事実:
* 失踪の瞬間、0.3~0.8秒の「空白」が発生
* 携帯電話、GPS、電子機器が同時に異常を示す
* 失踪現場に未知の同位体、気体、放射線、電磁波の痕跡
* 全ての痕跡は数日で消失

仮説: 失踪者は「転送」された?
* SF映画の「テレポーテーション」のような技術?
* しかし、それは現実に可能なのか?
* 物理学者に相談すべきか?
* いや、待て。
* もし本当にそんな技術があるなら、それを持っている組織は……
* 政府?軍?企業?
* それとも……



三島は手を止める。
ふと、別の可能性が頭に浮かぶ。
もし、犯人が「人間」ではなかったら?
いや、馬鹿げている。
しかし……
未知の技術。 未知の遺伝子。 未知の同位体。
全てが「未知」。
我々の常識では説明できない。
三島は窓の外を見る。
夜の東京。
数百万の灯り。
その中のどこかに、次のターゲットがいる。
そして、犯人は……

デスクの電話が鳴る。
午前3時。
また誰だ?
受話器を取る。
「三島です」
「三島警部、緊急です」松岡課長の声。
「何があったんですか?」
「新たに12名が失踪しました。過去6時間で」
「12名……!?」
「はい。しかも、全員が同じ方法で」
「同じ方法?」
「密室からの消失です。エレベーター、トイレ、自宅の部屋……全て」
三島は愕然とする。
「犯人は、もはや『拉致』を諦めて、全て『転送』に切り替えたんですか……」
「おそらく。効率を優先しているのでしょう。三島警部、これはもう我々の手に負えないかもしれません」
「何を言っているんですか?」
「政府に報告します。自衛隊、場合によっては米軍の協力も要請します」
「しかし……」
「国家的危機です。躊躇している時間はありません」

通話を終える。
三島は椅子に深く座り込む。
自衛隊。米軍。
そこまでの事態になったのか。
しかし、軍が来たところで、何ができる?
相手は銃で撃てるような敵ではない。
目に見えない。捕まえられない。
そして、一瞬で人を消す。